10月31日(火)、東京丸の内にあるコミュニティスペース 3×3 Lab Futureで、「UMU」が主催するイベント『自分らしい生き方・働き方、それぞれの世代のリアル~「産む・産まない・産めない」を通して考える~』に参加してきた。
「UMU」とは株式会社ライフサカスによって運営されているウエブサイトであり、「母になりたい女性がみんな母になれる社会」を創ることをビジョンに、「産む」にまつわるさまざまな選択を越え生きる、女性たちのリアルなストーリーを社会へ発信している。
このイベントに参加しようと思ったのは、このイベントのスピーカーとして登壇されていた木下紫乃さんにfacebookのイベントページで招待していただいたことがきっかけだった。正直なところイベントに参加する前まで「産む・産まない・産めない」というテーマに関して、ジブンゴトとして意識したことがなく明確な意見をもっているわけではなかった。しかし、いつか私自身直面するテーマであり、考えたいと思い参加することにした。ハロウィンでにぎやかな丸の内を歩きながら、参加者にはどんな方々が来ているのだろうか、どんな思いで参加したらいいのだろうかと、少し重い足取りで会場である3×3 Lab Futureへ向かった。
イベントは、「UMU」の紹介、登壇者の自己紹介、参加者同士の自己紹介からはじまり、「産む・産まない・産めない」にまつわるテーマに関して登壇者のパネルディスカッションがあり、最後に参加者同士、会場全体でのシェアリングという形で行われた。
私の中で特に印象的だった部分は、登壇の方々の「子どもをもつ」ということに対してのパネルディスカッションだった。登壇されている方々一人ひとり、「産む・産まない・産めない」というテーマ・家族の在り方・女性のキャリアなどに関して強い問題意識をもっている。それぞれが思うこと・感じていることを話していた中で共通していたのが、「社会が良いとしている価値観を自分の価値観に投影している人が多い」ということだった。多様な価値観があって当たり前なはずの社会でありながら、「20代で結婚して、子どもを産んであたたかい家族を築くこと」が一般の幸せとされていて、「結婚しないこと」が不幸だという雰囲気がある気がする。パネラーとしてお話されていたスピーカーの方々も、実際に職場や地元へ帰省した際に「結婚してないの?」「彼氏いないの?」「フリーランスって大丈夫なの?」という言葉を掛けられることに問題意識をもっているとおっしゃっていた。
「産む・産まない・産めない」
一度Aという人生を選んだら、Bという人生を選べないテーマであるゆえに、当たり前に選択をしてきた人間にとって、そうでない選択をすることになる人を理解することは難しいし、気がつかない間に傷つけていることもある。ときにそれは嫌味ではなく、自分の幸せな経験からおせっかいで言っていることをわかってはいても選択の淵にいる人にとって大きな圧力となる。「産む・産まない・産めない」のテーマのみに限らず、ダイバーシティのテーマは、パーソナルな問であり、解は一人ひとり違う。そのため一人ひとりが自分のキャリアデザインだけでなく、ライフデザインをしていかなければいけないという話が会場で繰り広げられた。
私はイベントを通して、ダイバーシティな社会の中で生きる中で大切だと思ったことが3つある。一つ目は、自分の価値観を理解しておくことだ。これは社会のなんとなくの圧力から、選択をするのではなく、自分自身がどう生きたいのかを考え積極的に選択していくことが大切だと思う。二つ目は、人の意見にまずは耳を傾け、否定しないこと。私自身、一度否定をされればもう一度話そうという気にはなかなかなれない。それまで生きてきた中では出会わなかった価値観に出会ったときにすぐに理解することは難しいかもしれないが、共通するポイントや共感できる部分はたくさんあるはずだと思う。三つ目は、サードプレイスをもつこと。自分と似た価値観や境遇、または異なっていても共通のテーマに関して真剣に考える人たちのいる場でともに考えていくことのできる、受け入れられるコミュニティをもつこと。少しずつ意見を口に出したり、アクションすることで身近な範囲から共感の輪が生まれていくのだと、実際に私が座っていたテーブルの中でもそのことが起こっており、感じることができた。
私は今回イベントに参加して、ダイバーシティな社会には多様な人がいて、それまで考えたことのない人・テーマに出会うことがたくさんあることをあらためて考えさせられた。そしてその場面に立ち会ったとき、私自身がどんなふるまいをしているだろうかと振り返る機会になり、ダイバーシティな社会について考え続ける姿勢を持ち続けたいと改めて思う時間になった。
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