MELC(長岡ゼミ)のブログ

熊本の被災地を訪れて 

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7.31~8.6の約1週間、熊本県益城町へNPOカタリバが運営するコラボスクールのボランティアをするために滞在した。コラボスクールとは、東日本大震災をきっかけにカタリバが宮城県女川町と岩手県大槌町につくった「被災地の放課後学校」だ。今回の熊本の震災を受けて、コラボスクールが一番被害の大きかった地域である益城町に拠点を構え、中学生の学習支援と居場所づくりをメインに活動を行っている。

東日本大震災が起きてから5年と半年が過ぎようとしている。震災当時、私は中学生だった。津波で家や車が流されていく映像をテレビで見て唖然としたことをいまでも覚えている。一方で遠いところの話だと思って何もしなかったことに後悔していた。今回の熊本の震災から3か月がたって、中学生の学習支援のボランティアの募集を見たとき、私にも何かできることがあるのではないかと思い、熊本へ行くことに決めた。熊本_43.jpg

熊本初日、中学校へ向かう車の後部座席から、益城町の街並みを眺めていると当然のように目に入ってくる倒壊した家屋や隆起している地面を目の当たりにし、改めて震災の被害の大きさを理解した。同時に東京に住んでいる私にとっては非日常に思われる世界に彼らの日常はあった。
そんな中で生活している中学生はどんな表情をしているのだろうか、私自身どこに行っても基本ポジティブにいられる性格なのだが、どんな風に接したらいいのだろうかと考えてしまい、そのときは不安が募っていた。

中学生の学習支援は一番被害の大きかった地区にある、益城中学校と木山中学校で行われた。木山中は、渡り廊下が地震によって崩落したことで学校の電気、水道といったインフラが停止しているため8月いっぱいまでは隣の小学校を利用して学習会『ましき夢創塾』は行われている。

熊本_133.jpgのサムネール画像あいさつと笑顔溢れる中学生
中学校に入るとすれ違う中学生一人ひとり大きな声であいさつをしてくれ、話しかけると突然東京からきた大学生にも関わらず笑顔で迎え入れてくれたことに驚いた。そして学習会が始まると集中して40分×3の時間それぞれ自習課題に取り組んでいた。夢創塾では、始まりの時間に『今日の目標』を立て、終わりに『達成度と感想』を書く。私は、毎日そのシートにコメントを書いていたのだが、彼らのポジティブな感想に驚いた。

とっても緊張したけど、めっちゃ楽しかった!! 集中して目標達成できた。 目標まで終わらなかったから、家でやってくる!!!

自習のどのあたりがめっちゃ楽しかったのだろうかと不思議に思いながらコメントを書いたり、勉強を教えたり、自習している様子を眺めていたのだが、確かにみんな楽しそうに勉強していた。それは震災直後、学校に通えず勉強ができなかった期間を払拭するごとくのようにも見えた。

聞くということ
勉強の話のほかにも、いろいろな話をした。進路の話、家族の話、東京の話など話題は尽きなかったが、当然震災のことも話にでることはあった。「家の一階の一部が崩れそうになってたから、家族みんなで直して、大変だったけど今は大丈夫」「今も狭い仮設住宅で家族みんな川の字になって寝とるよ」と実際に震災の時の話、学校が閉鎖中の時の話、現在の仮設住宅生活の話などをしてくれた。私はそれに対して聞くことしかできなかった。それを乗り越えながら笑っている彼らの努力と強さを感じ、そのことは私に震災をわかっているつもり、理解しているつもりであったことに気づかせてくれた。

熊本_191.jpg

震災があったことを負ととらえないポジティブなパワーに溢れ、よく笑い、勉強に向かう彼らから学ぶことは多くあった。震災を経験していない私がすべてを理解できるとは思わない。でも『関わろうとすること』が彼らにとって、そして熊本の未来にとっても大切なのではないかと思う。
私は何ができるだろうか、何を与えることができるだろうかと考えていたけれど、そうではなく一緒に学ばせてもらった充実した一週間だった。

 

カテゴリー: MINAHO! 越境レポート

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