MELC(長岡ゼミ)のブログ

「提供しあう」という関わり方

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6月25日土曜日、4月に新たに虎ノ門にできたコミュニティー活動拠点「URTRA」に行ってきた。URTRAは虎ノ門ヒルズの真横にあり、新橋と虎ノ門を結ぶ新虎通り地域を賑わせることを目指した施設だ。コミュニティー活動拠点というと難しく感じるが、地域に関連のある人、ない人誰でも参加出来る街歩きイベント、交流会などを企画しており、みんなで地域に参画できる場を提供している。「地域のための場所」の一環でURTRAには「BICYCLE COFFEE」というサンフランシスコ発のカフェも併設されており、イベントをやっていない平日にはフェアトレードで輸入された豆を煎れたコーヒーを楽しむこともできる。(このコーヒーが本当に美味しい!)

この日のURTRAでは「第1回ストリートファニチュアワークショップ」というイベントが行われていた。ストリートファニチュアと聞くと街灯やベンチをイメージするが、今回はURTRAに来た人が使うイスを参加者みんなで創ってみようということだ。URTRAの目の前の歩道は幅が10m弱あり、イベントが開かれる時には店内だけでなく、オープンカフェとして店の外まで活動範囲を広げるらしい。主催者の杉本篤彦さんからFacebookでイベント招待をもらい「店で使うものをイベント参加者が作るなんて面白そう!」と興味をそそられ参加した。 今回はURTRAと株式会社コトブキとの共同企画となっていた。材料や塗料などイス作りに必要なものはコトブキが用意し、場所はURTRAを利用するといった具合だ。時間帯は10時から12時まで、参加人数は10人ほど。まずイベント会場に着くと木製の板と鉄製の三脚、ネジが用意されていた。

作業をする前に一通りコトブキの深澤さんからのイベント趣旨説明があった。今回はみんなのスペースをみんなでデザインするということで「パブリックビルド」というコンセプトを掲げるという話だ。深澤さんの言葉を借りるとパブリックビルドとは

皆の=誰が言い出してもいい 
皆による=自分たちで責任を持つ 
皆の為の=使う人の事を考えましょう

とのこと。誰かが提案するのを待つのではなく、やりたいなら自分でやっちゃう。でもその提案は自分だけに関わりがあるのではなく、場所を利用するみんなにとって関わりのあること。だから使い手のことを考える。そしてそのことに責任を持つ。そういった考え方のようだ。パブリックビルドについて知らなかったが、深澤さんの話を聞いて「なにそれいいじゃん!」と一気にテンションが高まったことはよく覚えている。他の参加者も熱気が高まったところで作業がスタートした。

まずはノコギリを使って座面板を三つに分割するところから始まる。この時点では「なぜすでに座面として完成しているのに切る必要があるのだろう?」と思ったが、のちにこれが楽しいことになる。削った断面には中学の技術の授業で使ったサンドペーパーを用いて断面を磨く(懐かしい!)。そして次に一番参加者の個性が現れる部分である塗装作業に入る。三色の用意された色から三つに分割した板を好きに塗装していく。同じ色だけで3つの板を塗りシンプルに仕上げる人、1枚だけ色を変える人、塗り方は様々で、さらに綺麗な仕上げをするためには少しばかり技術も必要とされる。これが板を三つに切った理由だと思う。人それぞれ塗る色が違ったので、一目で自分の椅子がわかる。 最後にボルトで脚と板を固定して完成となった。

 

IMG_0058.jpg最初に用意されていた材料

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まずはのこぎりで板を三つに!

IMG_0060.jpg作業中の様子

IMG_0061.jpgそれぞれが好きな色で塗装する

IMG_0063 (1).jpg完成!

 

各々椅子を完成し終えると「持って帰りたい」という声が聞こえたが、僕自身としては個人的な家具として使うのではなく、お店で使って欲しいという気持ちの方が強かった。作ったもの自分で使うだけでなく知らない他の誰かに使って欲しいと思ったのだ。後日、企画者の杉本さんが通りがかりのお婆ちゃん(と思われる方が)椅子を使っている様子の写真をFacebookにアップロードしていたが、それを見てとても嬉しかった。今回僕は椅子を作る側として関わったが、一方でまたURTRAを訪れた時には同じように他の誰かが作ったものを利用するかもしれない。次に行った時にどんなものが増えているのか非常に楽しみだ。URTRAの運営者が一方的に用意したものではなく、街の人、虎ノ門が好きな人がそれぞれ提供しあって地域の場を作っていくことはとても素敵なことだと思う。「提供しあう」という街との関わり方が地域に対する愛着を深めるのかもしれない。また虎ノ門を訪れようと思う。

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カテゴリー: けんちゃん 越境レポート

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