わたしは、現在、競泳の練習場所を確保できていない高校生を対象に、練習環境をつくることをしている。仕事ではない。
わたしは、幼稚園生の頃から高校3年生まで競泳のスクールに通っていた。コーチがいて、練習メニューを考えてきてくれて、いつものレッスンの時間にプールに行けば練習が始まって、泳げばアドバイスをくれるような環境だった。小学生の頃からは選手コースの練習に参加し、トレーニングすることができた。とても恵まれている。
しかし、そうでない選手もいることを知った。
昨年の夏、後輩の応援をしに競泳の試合を観に行った時に、小学生の頃に練習を見てくれていたコーチから聞いた。わたしが選手として所属していた頃の環境はないというのがわかった。
元コーチから「手伝って欲しい」と声をかけてもらったことをきっかけに、何か後輩のためにできることがしたいという気持ちから、今の活動を始めた。
一緒に練習をしている高校生は10人ほど、大学生や社会人で、わたしのように関わる主要サポートメンバー5人、さらに相談にのってくれる競泳仲間で成り立っている。
具体的には、週1回の練習場所の確保をするために、練習するためのプールを借りたり、練習の引率をしたりしている。また、ストレッチを一緒にして、練習も一緒に行ってる。
活動は昨年の夏から始めた。もうすぐ1年が経とうとしている。
この1年間は、速く泳ぐためにはどうしたらいいのか、水中練習や陸上練習など、身体的な動きに関するトレーニングを中心に活動してきた。
わたしは食事の面からもサポートしたいと思った。
というのも、練習後にデニッシュパンを食べていたメンバーがいたのだ。
デニッシュパンに罪はない。練習後にすぐ食べるということも疲労回復につながるので間違ってはいないと思う。わたしも「練習の後にすぐにご飯を食べるのがいい」と聞いて育ってきたため、練習後にすぐ食べることを心がけてきた。帰り道におにぎりを頬張るのがわたしの日常だった。
なぜ、チョイスがデニッシュパン…。
ダメとは思わないけど、もっとあるのではと思ったし、工夫の余地がまだまだあると思った。
6月18日(水)、千葉市コミュニティーセンターでの水中練習前に、『水泳の試合に向けた食事について』というタイトルで、試合前後の食事についての勉強会を開催した。
講師として、栄養士の白井綾さん(わたしの小中学校の同級生)に来てもらい、この日参加した高校生2人と一緒に試合のパフォーマンス向上のためにどんなことを心がけたら良いのか、お話しを聞きながら考えた。
人間の身体を構成する5栄養素である、たんぱく質、脂質、炭水化物、無機質、ビタミンを改めて確認し、それぞれどんな食材に含まれているのかを白井さんが教えてくれた。
すぐに行動できるアドバイスをもらうために、試合一週間前、試合前日、試合当日に気をつけるポイントと、おすすめの食べ物を教えてもらうことにした。
試合当日に気をつけるポイントとして、競泳の試合シーズンである夏場に日持ちする食べ物を聞いてみたところ、主食なら白米よりパンだという。
例えば、試合当日にお昼ご飯用にお弁当を朝から持参したとする。そのお弁当を食べるのは3~4時間後。エネルギー元となる炭水化物はパンをおすすめしてくれた。パンの方が水分量が少ないため、傷みにくいということだった。暑さで傷んでしまう可能性が高いので、できるだけ傷みにくいものを選ぶように話してくれた。
コンビニでどんなものを選べばいいのかも聞いた。試合前やレースの合間にコンビニで食事や補食を買うこともあるだろう。また、学校生活でもコンビニで昼食を買ったり、塾や習い事で帰る時間が遅くなるためコンビニで夕飯を済ますこともあるという。
もし、おにぎりを選ぶなら、具は鮭(たんぱく質は、筋肉をつくる元となる)や梅干し(クエン酸は、疲労回復しやすくなる)などがいいと、理由を含めて教えてくれた。
わたしにとっては初めて聞くことではなかったが、改めて聞くことができ意識してみようと思ったし、参加した2人にとっては、6月末~8月末までの試合シーズンに、バランスの良い食事を意識するきっかけになったのではと思う。
≫今回使用した資料。内容は白井さんが作成し、編集はわたしが行った。
中学校の頃、家庭科の料理実習で同じ班になり、味噌汁を作った以来の合同作品。
わたしは「練習の環境をつくる」と言っても、どう関わったらいいのか悩みながら動いていた。悩んだ末に今回やってみたのは、疑問に思ったことを一緒に考える場所をつくることだ。
高校生だったらまだご飯に気をつかわなくても代謝がいいし、成長期なので支障はないかもしれないが、栄養のことを知ってて・理解していて・知識があってデニッシュパンを選ぶのと、そうでないのでは、食べる意味が違うだろう。
今後は高校生メンバーが気になったことを話せる機会や、考える時間をつくりたい。
「競泳の練習場所を確保できていない高校生を対象に、練習環境をつくる」とは、水中練習をこなす場所をつくることだけではない。一緒に学べる場所をつくることなのではと思う。
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