6月11日に京都の「きっかけ食堂」に行ってきた。きっかけ食堂は東日本大震災の月命日である11日に「魔法にかかったロバ」という貸店舗で営業している食堂である。そこで東北の食べ物を提供し、その売り上げを寄付している。4月に代々木公園で行った手紙のプロジェクトに、三田の友人だった原田奈実が遊びに来た。そこで私は彼女と知り合い、きっかけ食堂のことを知った。奈実はきっかけ食堂の代表である。彼女は47都道府県の学生を東北へ訪れる機会を提供する「きっかけバス」の京都代表を務め、きっかけバスが終わった後も東北へ何かしたいという気持ちできっかけ食堂を始めた。そんな彼女の話を聞き、面白そうな活動だと思いきっかけ食堂のために京都へ足を運んだ。
魔法にかかったロバは北野天満宮から徒歩10分ほどのところにある。開店30分後くらいに私は店についたが、すでに多くの人が立ち飲み形式で食事を楽しんでいた。店内は十数人のお客さんがおり、満席に近い状態であった。あとで奈実に聞いたが、リピーターの人とと初めて来る人が半分ずつくらいだそうだ。この日のメニューは気仙沼市唐桑から仕入れたカツオがメインであった。きっかけ食堂は食材を直接仕入れるため、メニューは毎回変わる。仕入れた食材の調理の仕方は漁師さんや農家の方から教わっているそうだ。私はカツオのたたきをまず頼んだが、身がぷりぷりとしていてとても美味しかった。その後も刺身や塩焼き、あら汁とその日のカツオのメニューはすべて食べた。どれも新鮮で美味しく、400円ほどで食べることができた。
その漁師さんとお客さんがテレビ電話で話しました。
そのまま食事を続けていると、3つ折りができる紙とペンを渡された。なにが始まるのかと思っていると、「お食事中すいません!これからきっかけタイムをしようと思います!」と奈実が声を上げた。きっかけタイムとは先ほど配られた紙に自分の話したいことを書き、その紙をきっかけにして周りの人と話してみるという時間である。真ん中の「東北・熊本」(今回は熊本での地震もあったため、熊本へも寄付金とするというそう)のところには東北か熊本に関係があること、他の2つのところには話したいことを書く。私は従兄と来ていたが、お互いきっかけカードを使い、隣の人と話し始めた。私は隣の男性2人と話をした。お二人も初めてきっかけ食堂にきたそうだ。3人ともこの日初めて話をしたが、お酒も入り、きっかけカードというツールがあることで初めて会った人同士でも会話が弾んだ。
私は東北のところには食べ物のイメージ、
他には自分の活動についての問いを書きました。
私は3.11が起きてからまだ東北に行ったことがない。なんとなく行こうと思ってはいたが、行けずにいた。そして東北に行くこと、現状がどうなっているか自分の目で確かめることができていないことに少し後ろ向きであった。しかし、直接な支援以外でも関われる方法はあるのだと実感した。私はどこかで「支援=意識的にマイナスの状況から脱却する手助けをする」というイメージを持っていたのかもしれない。きっかけ食堂がしている活動はそうではない。おいしい料理やお酒を楽しい空間で提供することでいつのまにか支援になっているのだ。そして楽しいから、美味しいからという理由からリピートする人が増える。一度でだけではなく、何度でも行き続けたくなる。それが関わり続ける支援ということなのかもしれないと思った。
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