『プレイフル・シンキング』という本に出会った。それは、今年の2月上旬のこと。当時わたしは“新ゼミ生”として新しい環境に身を置くことになり、知らない言葉が飛び交うゼミに参加するようになって少し焦りを感じ、少しでも無知な自分から脱したかった。そこで、先輩に参考にできる本がないか聞き、出会ったのがこの本だった。黄色いカバーにピンクの帯がついていてなんだかその色合いにもひかれ購入を決め、読んでみることにした。
本の冒頭部で「あなたはCan Iタイプか、How can Iタイプか」と問われる。私はおそらく前者であり、物事や課題に対してまず自分にできるかどうかをつい考えてしまうタイプだ。その後も「固定的な考え方をするか、成長的な考え方をするか」とあるが、ことごとくプレイフルではない例のほうに当てはまっていく。その時ふと逆の考え方ができたらいいな、と思った。
そして、しばしば登場する言葉“プレイフル”。どうやら私も子供のころはプレイフルだったのにその精神を忘れてしまっているということらしい。でも、プレイフルってなんのこと?わかりそうでどこか掴めないこの言葉にたくさん疑問がわいていたときParty of the futureというイベントの存在を知った。少しでもプレイフルを感じることができればと思いイベントに参加することにした。
目を引くプレイフル・シンキングの本
Party of the future(以下POF)は、『プレイフル・シンキング』の著者である上田先生とそのゼミ生Girls bandによるイベントである。会場は奈良県の吉野にある上田先生による実験的な学びの空間「ネオ・ミュージアム」であった。POFに対して、最初は興味が勝っていたのだが、直前になっても大まかなタイムスケジュールと2つのミッションが知らされるだけで、こういったイベントに参加するのもひとりで遠征するのも初めての私には不安もまた同時に募っていった。そして迎えた当日、そこには当然ながら知らない人がたくさんいて、関西という土地柄で人の空気感も少なからず違う中、うまく関わっていけるのかという気持ちをどこか感じながらPOFはスタートした。
私たち参加者はそれぞれTALK・DANCE・CAFÉ・FASION-SHOWの4つのチームに分かれた。私は直感でFASION-SHOWチームに参加し1日目のNight sessionを迎えた。模造紙で服を作るということ以外、中身の全く決まっていないショーを形にするため、少ない時間の中、チームで模造紙を囲み、プレイフルなファッションショーとはどういうものかアイデアを出し合い、ぶつけ合った。議論がまとまらず焦る一方で、どんどん新しい意見が飛び出してカラフルに上書きされていく模造紙。そのうちに夢中で考えを巡らせている自分に気付いた。もしかしてこれがプレイフルな瞬間?と思い、ハッとした。身をもってプレイフルを体験できた気がしてとても嬉しくなった。
PLAYFULな模造紙
2日目の本番を迎えても、始まる直前に「司会者の衣装も作ろう!」と誰かが言い出して即興でデザインして作り、また本番ではチーム以外の人も加わってショーの衣装を作ったので、衣装づくりのアイデアは出続け、私たちのFASION-SHOWは最後まで進化し続けていき、とてもプレイフルだったように感じる。当日企画に参加してくれた人の必死に考える姿や、楽しそうに服を作っている顔を見ていてこっちまで嬉しくなったのを今でも思い出す。『プレイフル×ファッションショー』は大成功だった。少なくとも私はそう思っている。
ファッションショー当日の様子
プレイフルの体験はPOFの間、ときどき感じることができたように思うのだが、それは意識的なものではなく、プレイフルなスイッチのオンオフを自分でコントロールするのはまだまだ難しい。やはりどこか掴みきれないという印象がある。結局プレイフルとは何だったのか、POFでの体験でこの問いに納得のできる答えは出なかったが、これからも日々プレイフルな瞬間を感じていくことは、私がプレイフルに近づくために必要なことだと感じる。だからこそ、今回の体験を一つの手がかりとして、少しずつプレイフルな思考を手に入れていけるよう工夫していきたい。
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