11月の中旬、紅葉が見頃の京都にじぶんはいた。なぜ、京都かというと同志社女子大学上田信行先生のゼミに訪れたからだ。上田先生は自らのゼミをgirlsBandと呼んでおり、ロックやジャズなどのバンドを連想してしまう。この呼び方は上田先生のユニークさの表れであり、girlsBand自体の活動もユニークだ。girlsBandの活動は毎年5月に吉野にあるネオミュージアムで開催される「POF」(Party of the future:今年の5月に行われたPOFについてゼミ生の記事より)をはじめ多くのプレイフルなプロジェクトを行っている。今回は「girlsMediaBand 1dayINTERN」と名付けられたプレイフルな企画に参加した。この企画はgirlsBandの魅力や普段の活動を肌で感じてもらうことを目的で始まり、この企画の参加者はインターン生として普段のゼミ活動に加わり一緒に活動できる。じぶんもインターン生として参加したのだが、girlではないのでboysBandとして参加した。さて、girlsBandの本拠地である同志社女子大学に入ると、女子大ということもあり多くの視線を感じながら校内を歩くめずらしい経験をした。そして、いよいよ普段活動している教室に入る。教室の中は奥行きがある広い部屋にホワイトスクリーンやカメラ、スポットライトなどが完備されている。
(インターンに来たひとにそれぞれ名前入りのメモできるランチマット)
一通り設備などの説明を受けた後、参加者とgirlsBandで互いに簡単な自己紹介をして早速一緒にワークショップを作っていく。その際、自分が驚いたことはgirlsBandの全員が場づくりに対して、とても自然な振る舞いをしていたことだ。対話やワークの内容に合わせて、天井にある蛍光灯と一緒に取り付けられたスポットライトを使い分けて落ち着いた雰囲気をつくり、瞬時に雰囲気にあった音楽を選択して演出する。そのため、対話やワークをする際にはとても心地よく進めることができた。girlsBandのメンバーはPOFなどのプロジェクトを多く手がけてきたからこそ場づくりに対して敏感に察知して即興的な振る舞いができるのだと感じた。今回、一緒に考えたプロジェクトは教育専門の教授や先生、数十人に現在流行しているアクティブラーニングについてのWSを企画することだ。実際に行うワークはレゴタワー、似顔絵、セルフポートレートの3つと決まっており、これらのワークをリハーサルに近い状態で行っていく。その最中にワークの意味づけやデザインを参加者とgirlsBandと一緒に試行錯誤していった。例えば、似顔絵に使うペンの色を薄い色に変えることやワーク中のファシリの声かけのタイミング、リズム感など細かくデザインすることだ。
(天井にまで届くレゴタワーが出来上がった。)
リハーサルを終えたあと、このワークの要素とアクティブラーニングをつなげる時間に移った。それぞれの3つのワークごとに分かれてアクティブラーニングにつながる要素を抽出して整理し、新たな意味づけをしていく。正直、アクティブラーニングに関する知識や理論を知る教育専門の教授を相手に行うことを考えるとこの要素をつなげる時間は難しかった。グループでどんどんと深掘りしていきながら考えに考えた。ほどよく時間が経ったところでそれぞれ紙にまとめ、上田先生を交えながら全体で共有し始めた。その際、有名な上田先生の無茶ぶりが飛んできた。その無茶ぶりとは「専門的なことばは一切使わずにじぶんのことばで説明してみて!」ということだった。やさしく、楽しげなトーンで上田先生は述べられたがなかなか難しく、みんな専門的なことばを言いそうになりながら考えてじぶんのことばで最後まで説明していった。
上田先生はこの全体での共有の際に「social constructivism(社会構成主義)」というワードを述べられた。このときのメンバーの状況に当てはめれば、深掘りの際に出てきた専門的なことばや概念を自分の中に落とし込み、新たにじぶんのことばにするということだ。いまある概念はどんどんと変わり、新しいモノ・コトになっていくのだと実際に肌で感じることができた。上田先生によれば、この教授や先生に対して行う企画はアクティブラーニングのすべてを伝えるでなく、じぶんたちからは3つを伝えたあとに教授や先生に5つ投げかけて新たにアクティブラーニングについて知り、それをじぶんたちのことばにして学ぶことがねらいのひとつだと言う。
今回、インターンをして見えてきたのが自分の越境した先でプロジェクトに関わり、新しいコトやモノを学ぶという越境活動を再認識したことだ。違う大学、違う先生のゼミに参加してプロジェクトに関わることで普段から行うじぶんたちの越境活動をメタ認知することができたのだと思う。また、今回のインターンではgirlsBandの普段の振る舞いやいまある概念・ことばを一度じぶんのことばで表現して再構成することの重要性を肌で感じることができたのはboysBandととして一緒に活動できたからこそだと思う。正直、朝から夜の6時ぐらいまで、あっという間でプレイフルな時間だった。「girlsMediaBand 1dayINTERN」に参加して改めてまたboysBandとして活動したいと思える1日であった。
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