MELC(長岡ゼミ)のブログ

"あしおと"を聴く場がもたらすもの。社会課題という言葉が溢れてきたいま、思うこと。

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先日、アメリカが全州で同性婚を認めたことで、Facebookの顔写真がレインボー(LGBTフレンドを表す)色に染まった。

大きな1歩への敬意を表して私も顔写真をカラフルにしたのだが、Faccebookフレンドの「顔写真を変更しました」の投稿の多さに、LGBTへの理解が進んでいることを実感する機会にもなった。

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こういったLGBTへの取り組みを始めとして、近年社会起業家やNPOという言葉を当たり前のように見かけるようになった気がする。

社会的にも、個人的にも(NPOでインターンを始めました)、ぐっと身近なワードになっているのではないだろうか。

それ自体はとても歓迎すべきことで、老舗?(10年以上)のNPOで働く方から「私たちが始めたころは(2000年あたり)まだNPOという言葉すらなくてね」

なんていうお話を聞いたりすると、時代の流れがシフトしているのを感じる。


一方で、(「ワークショップ」という言葉が流行ってきた時と同じ感じがするのだが)

そういった言葉(「社会起業」や「ソーシャルデザイン」)をあまり好んで使わなくなった方も多いのではないだろうか。

私が、「社会起業家のコミュニティづくりに興味があって、、」と話し出すと、苦笑いされる瞬間に時々出会う。


そんな微妙な空気を感じながらも、先日行われた「Future Innovators Gathering」という、3名の社会起業家をロールモデルとし、お話を聞きながら学び、対話する中で自身のこれからを考える、というイベントに参加してきた。


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シアトルにあるNPO法人iLEAPの呼びかけで始まったこのイベントは、様々な分野で社会起業家として活躍する、iLEAPのリーダーシップトレーニング卒業生3名がゲストとして招かれていた。


以前ゼミでもお話をしてくれた、NPO法人ブラストビート 代表理事/ギフト経済ラボ 創業者の松浦 貴昌さん。

ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京代表理事、認定NPOカタリバ常務理事・事務局長の岡本 拓也さん。

合同会社こどもみらい探求社共同代表、asobi基地代表の小笠原 舞さん。


社会起業家として名前をよく聞く3名の方が揃っていたので、事業内容をはじめとして、どういう風にビジネスモデルを構築したり、ボランティアのマネジメントをしているのか。

そんなことが聞けるのかしら、と思いながら、ドジャ降りの雨のなか中会場に向かった。

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結論から言ってしまうと、さきほど挙げたことは何一つ聞けず、彼らの取り組む社会課題に対して、何か明確な答えを得ることはできなかった。

むしろ、なんとも言葉にしがたい「あたたかい気持ち」と「大切にしたい思い」という、あやふやな感情で心がいっぱいになった。

 

まず、ゲストを紹介するときに、ファシリテーターの小竹 めぐみさん(合同会社こどもみらい探求社共同代表)は、ゲストの名前以上の情報は伝えようとはしなかった。

むしろ、「まっつんは(松浦さん)初めて会ったとき冷たそうな人だと思ったけど、実は母性溢れる人なんだよね!」というすごくパーソナルな情報を場に置いていく。


それを受けて松浦さんは、ブラストビートの活動の内容には触れずに、自分が小さいころ虫取りが好きでミノムシの蓑を剥がすのにはまっていたことや、凸凹(人間の個性)を楽しむお母さんのお話、家族の話しをし始める。


その後、各ゲストに分かれて小グループで対話を進めるなかでも、小笠原さんは子供の時間の使い方にはっとさせられたことや、どういう保育士でありたいかというお話、本当の友達ができなかったことなどを参加者からの質問を通しながら話していく。

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あれ、思っていたのと違うぞ・・・、というのもそのはずで、

今回の企画の裏側の設定に「いままでに話したことのない話しをすること」というものが立っていたそうだ。

もちろん、インタビュー記事に載っているような事業内容についての話は出てこない。

だから、「社会課題」の話も、出てこない。


私は冒頭に述べた、「社会起業」という言葉を好まない人の理由が、この時分かった気がした。


私たちは、時代が社会起業への流れを加速させていくなかで、いつしか「社会課題」を語ることばかりに夢中になっていたのではないか。

もしくはそのビジネスモデルやマーケティングの成功例に目がいきがちになってはいないだろうか。


「日本の教育は・・・」と話すことそれ自体は意義のあることだが、それだけでは、どうも肩が凝ってしまう感覚を受ける。

そう熱く語るその人自身が何者なのかが、社会課題に隠れてしまって見えていない状況があるのではないか。


今回の場を通して感じることは、ゲストである社会起業家3名の「在り方」そのものであるように思う。

「教育」という3名に共通する大きなテーマの話しではなく、自分が大切にしている感覚に伴ってその周りの半径5mをどう変化させていくのか、ということだ。

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イベント最後のラップアップは、「今の私はooで、次の私はooである」を一枚の紙にまとめて、全員で無言でシェアをするというもの。

小竹さんの「ゲストとの対話を通して起きた、自分の内側の変化を振り返ってみてください。」という一言からゲストの話しそのものから学ぶだけでなくて、その在り方を間近で感じたことで、私の中で生まれた「あたたかな気持ち」を探ってみることにした。


ブログに書いてしまうのは少し勇気のいることだけれど、私は「他者を信じる」ということにもっと自覚的になりたいと思う。


他者の可能性を、自分や社会がかけているメガネを外して、無条件で信じてあげること。

自分の可能性は、他者によって広がることを信じ、それをためらわないこと。


そういうことが自然体としてできる自分で在りたいし、社会を作りたい。

 

会場はしーんとしていて、白くて清潔な部屋に、いろいろなものが吸い込まれていく感じがした。

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iLEAPをはじめとした社会起業家向けのプログラムには、ビジネスのHow toを学ぶだけではなく、個人の内面を深く深く掘り下げるものがある。

 自分の在り方を探ることは、結果として本質的に社会課題へのアプローチが変化し、共感する仲間をつくり、次の一歩の決断ができるようになるからだと思う。

 

iLEAP(http://ileap.org/)で日本スタッフをしていた元維さんが、最後にiLEAPをこう表現した。

"あしおと"を聴く場。
瞳を閉じて、心を落ち着けて、これまでの人生をゆっくりと振り返るということ。」


ソーシャルに関わる人にとって、「社会課題」ばかりに目がいきがちな現場や時代の流れ、そしてなにより自分自身から離れてみることは、ソーシャルに関わることが当たり前になってきた今だからこそ、強く求められているのではないだろうか。

カテゴリー: みくそん 越境レポート

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