5/23 雨がまばらに降っている夜、銀座のコワーキングスペース LEAGUEで行われた
「co-cooking」というイベントに参加した。
「コークッキングとは仲間の絆を深めながら、ちょっと創造的にもなれる、新しい料理のしくみです!」(co-cooking HPより抜粋)
この言葉が表すようにco-cookingは料理を作ってから食べるまでの過程を通じて、みんなで作りながら行うコミュニケーションやそれぞれ背景の違う人が同じものを作ることで生まれる新しい創造的な料理などを誘発する場であり、協業を意味する「co-」をテーマとするイベントである。
今回の会場は銀座にあるコワーキングスペースで、普段色々なひとたちが仕事をする場なのだが、オープンキッチンが併設されており、お昼の時間などに使う人もいるそうだ。コワーキングスペースで料理をするというのは初めての体験だった。
会場となったコワーキングスペース LEAGUE。奥に見えるのがオープンキッチン。
会場に着くと、主催者の伊作太一さんに挨拶を済ませ、席について周りにいる参加者の人たちとお話をしながら開始を待った。参加者が揃うと伊作さんの説明が始まる、今回の参加者は合計で11人。学生やLEAGUEの会員さん、仕事終わりの社会人など様々だった。作る料理は餃子だ。「餃子は作るのが簡単な上に、とても家庭的な料理なのでそれぞれの個性が際立ちそうなのでテーマにしました。」と伊作さんは教えてくれた。
伊作さんからの説明が終わり、みんなでエプロンをつけて料理を開始する。あらかじめ食材の調達と餃子の皮の生地の調理は済ませてあったので餃子の具を作る班と皮を伸ばして切る班の二手に分かれた。私は餃子の具を作る班に加わり、同じ班の人とおしゃべりをしながら具材を切ったり、混ぜたりし始めた。参加者の中には私のようにおしゃべりをしながら楽しく調理をする人や黙々と自分の作業を進めていく人、写真を撮りながら調理を楽しむ人など様々な人がいた。作業を進めていく中で調理の仕方や具材の大きさなどの相談を周りの人としていると、最初は黙々と作業をしていた人も話の輪に加わり、最終的には話をしていない人はゼロになっていた。
班に別れて作った餃子の具と皮。
皮は手作りなので市販のものより分厚い。
次に一通り調理が終わると餃子を包む作業に移る。この作業ではとても一人一人の個性が出ていた。例えば餃子の形がそうだ。通常の餃子の二倍ほどもある大きな餃子やお店で出てきそうなとても綺麗に形作られた餃子、その他にも棒餃子などもあった。中にはドーナツ型の餃子やまるでチヂミのような平べったくて薄い変り種の餃子まであり、みんなの注目を集めていた。伊作さんが最初におっしゃったように、家庭的で作り方が簡単な餃子だからこそ自分の創意工夫がたくさん現れたのだろう。
焼き上がり前の餃子。手前がドーナツ型とチヂミ風のもの。
皮の分厚さを活かしたチヂミ風餃子は参加者に大好評だった。
餃子作りが終わり、片付けを始めていると普段自分でも料理をするお父さんが「あまった食材でスープでも作ろうか」と言ってその場でスープを作り始めた。使えるものはあまり物の餃子の具材と調味料くらいしかなかったが、とても美味しい中華スープができあがったのだった。さらに私の知らない間にサラダも出来上がっており、聞いてみると使うドレッシングはなんとその場にあった調味料でまかなった手作りドレッシングだった。決められた料理以外がその場で素早くできていくことに私は驚きを隠せなかった。
そして最後にみんなで作った餃子を一緒のテーブルで食べた。自分で作る料理はとても美味しい。それぞれ参加者の思いや工夫が込められているからこそなのだろう。みんなでテーブルを囲みながら食事をしているときは自分の行っている活動や仕事、その他にも面白い形の餃子を作るに至ったアイディアについてなど様々な話が飛び交っていた。
co-cookingではあらかじめ「お好きな具材をお持ちください」というアナウンスがされていたのにもかかわらず、持参した人はたったの一人だった。しかも具材ではなく餃子のつけだれに使うラー油だ。しかし、私は一人一人がきちんと持参したものがあったと思っている。それは”自分自身”だ。ある人は料理の腕を。ある人は独創的なアイディアを。そしてある人は自分の体験した興味深い話を。このように持参するものは人それぞれだ。あまり物で中華スープを作ってしまうなんてことが起こるのもそれぞれが持ち寄ったアイディアやスキルによって生まれた結果の具体例と言えるだろう。もちろん自分のお気に入りの具材を持参する人もいる。その具材を持ち込んだ人はただ具材を持ち込むだけでなく、色々と試した結果、その具材に行き着いたという話や美味しい使い道などたくさん教えてくれたりする。このように意図的かどうかに関わらず参加者がco-cookingに何かを持参することで、それらが混ざり合い、とても緩やかな空気感や創造的で楽しい場を作り上げていたのだと思う。
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