6月5日金曜日、市ヶ谷にあるカフェ、CAFEKATY(以下KATY)で『自画持参』がおこなわれた。
自画持参とは、毎月第一金曜日に、自分の話したいテーマやアイディアをKATYに持ち寄り、そこに集まった人たちで、その場で話したいテーマと話すお題を決める。ひとりが3分間お題に沿って話し、その話しをもとに参加者で対話するがちゃトークを使って、コミュニケーションについて考えるワークショップだ。わたしは久しぶりの参加だったのでわくわくしていた。開始時刻の19:00より5分前にKATYに到着し、そっと店内を覗くと、オーナーの中村さんが出迎えてくれた。わたしが一番のりのようだ。
外は雨が降っており、傘を差して歩いている人が見える。19:00になっても他の人が来ないので中村さんと一緒にさっそくテーマを考えはじめた。6月にちなんで「梅雨」や「雨」など、じめっとしたワードが出てきた。このテーマで話してわくわくするかどうかを想像するも、なかなかそうは思わない。数が出てきたころ、ゼミによく来てくれる木下さんがやってきた。
「木下さん、テーマ何か案ありますか」「悩み」「・・・悩み?!」
傘をくるくると丸めながら出てきたテーマだ。なぜか6月にとらわれて考えていたふたりの思考から飛び出したワードで新鮮だったが、わたしは”悩み相談”になってしまうのではないかという懸念があった。そんな心配を抱えながらも、テーマを「悩み」に決めた。そうこうしているうちに、さらに3人が加わった。
≫自画持参、歴代のテーマ(実は横に日付が添えられている)とがちゃがちゃのカプセル、ペン、おりがみ、ほうじ茶ラテ
それぞれ考えたお題はおりがみに書き、折ってがちゃがちゃのカプセルに入れる。参加者の名前も同じようにしてカプセルへ。まずお題をひとつ取り出し、そのお題について各自2分間考える。次に名前をひとつ取り出し、名前がでた人が3分間話す。この日は、全部でみっつのお題で対話することができた。
ひとつめは「小学校のとき中学校のとき大学、専門学校のとき各々の一番の悩みは何?(おりがみに書いてある通りに表記しています)」
ふたつめは「人に自分の悩みを相談しますか?」
わたしが中でも印象に残っているみっつめのお題は「しんけんにたのしく対話するには何が必要だと思いますか」だ。このお題について話したのは中村さん。3分間スタート。
「中村です。そうですね〜、前の会社でやっていたのは、教えるチームと教えられるチームに分かれて話をすることです。教えるチームには、会話に幅を持たせるために話を吸い上げる力が必要です。 一方、教えられる側はそれにのっとって意見を出すことが必要です。教えるチームは、時間配分や流れ、目標設定をすること、話の着地も決めて臨むことまでできたらたのしい会話ができると思います。教えるチームの引き込む力と意見を吸い上げる力が重要だと思います。教えるチームと教えられるチームの両方がそれなりの興味を持って参加することが大事だと思います。」(話の内容を書きました。実際の口調とは異なります。)
わたしはてっきり「・・・という風な対話は真剣にはなるかもしれないけど、たのしくはないよね」というオチがあると思っていたが、展開はなく話の内容がそのまま結論だった。会社ではこういうことが行われているのかと、わたしは驚いた。同じコミュニティの中で教えるチームと教えられるチームが存在するようだ。一緒に働いている意識や試行錯誤できる余地があまりないように思ったし、教えられたこと以外はやってはいけないような感じがする。できる人はできない人に教えてあげることが大事で、できない人はできる人に言われた通り行動するという構図が奇妙な感じがした。
できる人がリーダーシップを発揮することが大事だ、ということが最近のゼミの時間で話す機会があった。教えることももしかしたら必要かもしれないが、教えることが最優先ではなく、目的を果たすことや本質を理解して行動することが大事だと考える。そのため、できる人が責任を持って目的を果たすことが重要だし、各々が意識を持っって行動することが必要だと思う。それをもとに考えると、「それなりの興味を持って参加することが大事」というのには共感するが、興味のあることにはきちんと向き合って活動する必要があるし、「それなりの」では続かないこともあるように思える。この日の思ったことからわたしはリーダーシップには「興味のあることに自分から参加することが大事」だと考えた。
中村さんの経験とわたしの思ったことの中で「しんけんにたのしく対話する」イメージがまったく違って、みんなが同じ方向を向いて進むことが「しんけん」だと捉える一方、相手の意見を聞きながら自分の意見を考えながら言うことが「しんけん」だと考えているところが違うことを話すことでわかりおもしろかった。どう違うのか、何がたのしいの要素なのかなど、思ったことをちょっとずつ言葉にして、6人でいい対話ができたと思った。
最後に、扱われなかったお題をすべて見ることになった。わたしが懸念していた”悩み相談”なんてひとつもなかった。こなそうなんてする人がいない、楽しみ方を知っている人たちが集まった、「しんけんにたのしく対話する」ことができた場だったと思う。
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