2015年の春、iLEAPの「Social inovvation in Seattle (SIIS)」 に参加するため5週間シアトルに滞在しました。SIISのプログラムの内容については、前述の越智さん、山本さんのブログにも書かれていますが、主な目的はソーシャルイノベーションのシリコンバレーと呼ばれているシアトルでソーシャルイノベーションについて学ぶこと、また未来のリーダーとなるためリーダーシップについて学ぶことでした。シアトルで学んだことは多くありますが、その中でも私が今後も大切にしたいと思った学びの一つに自分がどうありたいかを考える大切さがあります。
快晴に恵まれたシアトルに到着したプログラムの初日、iLEAPの素敵なオフィスでオリエンテーションを受けました。
△シアトルのダウンタウン近くにあるiLEAPのオフィス
実は、到着したその日まで具体的なプログラムの行程は全く知りませんでした。オリエンテーションを受け、どこに訪問にいくのか、何のセッションを受けるのか、少しずつ中身が明かされ、盛りだくさんのプログラムの内容に舞い上がっていた私でしたが、オリエンテーションの最後に一つだけ出された宿題に少し悩まされました。それは「このプログラムを通して、自分がどうありたいか」を考えてくることです。
プログラムの始めに、何を得たいか、何を目標としているのかというゴールの設定ではなく、自分のあり方を問われた経験は初めてでした。普段、無意識でいつのまにかコミュニティの中で形成されていた自分のあり方について意識的に考えてみることは、それまで自分が何をするのかにフォーカスをして忙しい毎日をただただこなし過ごしていた私が見失っていた部分でした。
初めてのホームステイ先に帰り、心がまだソワソワしている状態で寝る前のベットの中でこのプログラムでの自分のあり方についてを考えてみました。自分がどうありたいのか、という根本の問いは大きく途方もないように感じられましたが、このプログラムの中で、と限定すれば少し考えられる余裕ができました。素直にいま自分が求めていること、なりたい像を日本で過ごしてきた忙しい毎日を思い出しながら、長時間の飛行機のフライトの疲れと睡魔と戦いつつ考えた結果、初日に思った私のintentionは、"Borderless" 自分で壁をつくらず、シアトルで出会ったもの、学んだものあらゆるものから吸収したいという気持ちから生まれたintentionでした。
2日目の朝、チェックインで皆でそれぞれが考えてきたintentionを丸い円を描いたサークル状で共有しました。
SIISには日本各地から未来の社会リーダーを目指す18歳から25歳の25人が奨学生として集まっていました。東北や関西、関東など出身地も違えば、教育や法律、ビジネス、地域社会、ジャーナリズムなど興味のある分野もそれぞれ、それまでにたどってきた人生はバラバラで間違いなくこのプログラムに参加しなければ出会えないような多種多様な人たちでした。2日目の朝ではまだ参加者もiLEAPのスタッフの人も会って間もなく、お互いについてはほぼ知らない状態です。それでも、それぞれがもつ「honest」「respect」「open」等、一人一人のintentionを聞いていくと、このプログラムを皆がいいものにしたいと思っているのだ、という気持ちが共有され、お互いについてそこまでの理解がないにも関わらず、不思議な仲間意識が自分の中で生まれていました。
このintentionはプログラムの中で何度か見直す機会や場がありました。
プログラムがスタートして一週間後、グループプロジェクト、プログラム終了1週間前、そしてプログラム最終日。その度にintentionを見つめ直し、自分はいまどうありたいのかを考えました。
私のintentionはプログラムが進む中で少しずつ変化していきました。それはセッションを受けたり、シアトルにいる魅力的な社会的リーダーに出会ったり、グループプロジェクトの中で困難にぶつかったり、参加者とたくさん語り合う中で、自分がどうありたいのか、どう変わりたいのか、の部分がより明確に見えてきたからこその変化だったと思います。また、intentionを見つめ直す機会は、盛りだくさんのプログラムをただこなすだけになることを避け、自分がこのプログラムを終えて何を持ち帰りたいのかということを再確認する大きな助けでした。
私がこのプログラムの最終日に日本に持ち帰りたいとおもったintentionは「Accept&Love:愛をもってうけいれる」ということです。
iLEAPで出会った25人の私たちのコミュニティは、5週間を通して皆がそれぞれのあり方をお互いに尊敬し、受け入れ、愛そうとするコミュニティに変化していました。最終週のセッションの中で「シアトルで出会ったばかりのこの25人の1人1人を私は自然と愛そうとしていることに気がついた」と友人が言った言葉が心に残っていますが、本当にその通りでした。自分がどうありたいか、を認識できれば、どこにいても何をしていても自分を見失わずにいれます。自分を見失わずにいれば、相手のあり方も尊重し、受け入れることができました。
25人のバックグラウンドも性格も好みも様々でしたが、その人が何をするか何を言うか(What I do, What I say)ではなく、その人がどういう人であるか(What I am)、どうありたいを考えているか(intention)の本質をみれるようになったことで自然と愛にあふれたコミュニティができあがったのだと思います。
私はそういった愛にあふれたコミュニティも日本でもつくれる人になりたいと考え、最終日に「Accept&Love」のintentionを定めました。
これからの私の課題は、シアトルで出会った奇跡で終わらせないために、シアトルで学んだことを日本に持ち帰り体現していくことだと思っています。そのためにも、永遠のテーマであるMy intention:自分がどうありたいか、を探り続けることを忘れずにいたいと思います。
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