2月23日から3月27日までアメリカのシアトルでiLEAPの主催するSocial Innovation In Seattle(SIIS)というプログラムに参加をした。詳しくは前記事の越智さんのブログに書かれているためここでは省略をする。
私はこのSIISに参加をすることによってリーダシップとソーシャルイノベーションについて様々な手法で学ぶことが出来た。レクチャーを受けて、リーダーシップとソーシャルイノベーションに関する知識を得ることはもちろん、グループプロジェクトやサイトビジットをすることによって体験的にリーダーシップやソーシャルイノベーションについて学ぶこともできた。また周囲の人々とのコミュニケーションのとり方や、主に参加者同士でのチームビルディングについても深く考えることができた。私はむしろコミュニケーションのとり方やチームビルディングについて考えることの方が多かった。また"Who am I?"といった問いの中で自分自身について考える機会も多くあった。自分の本当に好きなものは何か、自分はどのようなリーダーシップを持っているのか、などについて考えることが出来たと思う。さらにグループプロジェクトで分かれたグループごとにメンターが1人ついてくださり、メンターとのコミュニケーションを通じて学ぶことも数多くあった。シアトルといういつもと違う環境ということもあってか毎日の出来事のすべてが印象的だったのだが、ここではその中でも特に私が印象的に残っているグループプロジェクトで感じたチームビルディングについて記そうと思う。
グループプロジェクトとは参加者25人が5人ずつに分かれ、5つのチームを作り、各グループにつき1つの企業やNPOから与えられるプロジェクトを行なうものである。私が所属していたグループはGoodwillという1923年に設立されたアメリカでとても古い歴史を持ち、シアトルで活動をしているNPOとのプロジェクトを行なった。Goodwillはホームレスの人や移民、様々な理由により学校に通うことが出来なかった人などに向けた生活支援や学習支援を無料で行なっている。生活支援では主に衣類や眼鏡の提供や医療費の援助などをしており、学習支援では主に英語のクラスやコンピュータスキルを身につけるためのクラスが開講されている。学習支援はこれから高卒の認定を習得したい人や大学に通いたい人、仕事に就きたい人など様々な立場の人へ向けて行われている。他にもジョブハンティングのサポートや若者向けのプログラムとして長期に渡って行なわれるプログラムが年齢別に2種類ある。またこれらの費用はマイクロソフト社などの企業からの寄付からも成り立っているが、大半はとても大きいリサイクルショップのような店鋪をシアトル市内やその周辺にいくつも持っており、そのショップで得られた利益を生活支援や学習支援をするために利用しているのである。ちなみにこのショップで売られているものはほとんどすべてシアトル市民やアメリカ国民から寄付されたものであり、衣類を始め多くの品物がショップでは売られている。
▲Goodwillオフィス前。SIISプログラムの2週目から週2回通っていた。
私たちのミッションは、これらのGoodwillのサービスのすべてをよりわかりやすく移民の人たちに伝えるためのビジュアルツールを作成する、というものであった。つまり英語が母国語でない、もしくは全く喋れない人たちにどのようにGoodwillのサービスについてわかりやすく見える化をして伝えることができるのか、ということである。アメリカに住んでいる人=英語が喋れる、というのは大きな間違いであるということをこのプログラムを通じて目の当たりにした。
早速私たちはどのような媒体を用いてビジュアルツールを作成するのか、ということからまず話し合いを始めた。ここでも様々な意見が出たのだか、このときに私が強く感じたのは自分のアイデアと他人のアイデアをどのように融合させるのか、もしくはどのようにバランスをとってグループのアイデアとしていくのかということの難しさであった。アイデアを出し合う瞬間はそれぞれの興味関心やバックグラウンドストーリー、このプログラムを自身の中でどのように位置づけているのか、性格、強み、弱み、直感などが顕著に表れる瞬間かもしれない、と思う。確かに私たちはこのプログラムに取りかかる前にGoodwillの様々な実際の活動を見学させていただいた。多くの社員の方々から話を伺い、質問をする機会も設けてくださった。その後にGoodwillの社員であり私たちのプログラムの担当をしてくださっていたBrandonは「もしGoodwillを知らない人たちにGoodwillとは何か、と聞かれたら君たちは何と答える?君たちが持っているGoodwillのイメージが重要だよ。」と私たちに言った。そのためGoodwillに対するイメージはこのときに自分なりに考えることができていたと思うのだが、チームメンバー同士でのコミュニケーションをあまりとっていなかったせいか、プロジェクト自体は上手くいっているがお互いのことはあまり知らず、変に役割が固定されていて十分に意見を言い合えるような、そしてクリエイティビティを発揮できるようなグループではなかったと思う。この感情が当時はただの違和感でしかなく、ただモヤモヤしているだけだったのだか、他のグループのチームビルディングの様子を見たり、iLEAPスタッフである恵さんを交えたリフレクションの中で私たちに足りないものはチームビルディングをする時間やコミュニケーションをとる時間だ、ということを私は思ったのである。チームビルディングをする際、きっとプロジェクトや取りかかっていることとはほとんど関係のないことをしたり、パーソナリティが含まれる内容の会話をすることになるかもしれない。そのため一見グループプロジェクトには全く必要のないことのように感じるかもしれないが、アイデアを出し合う瞬間というのはその人自身がよく表れる瞬間だと私は思う。全く新しいことをしようとすればするほど過去に頼れる事例がないため、その傾向は強まるのではないか、と思う。そのためチームビルディングをする際にはできるだけお互いのことを知る必要があるのではないか、と思う。しかしそう簡単にいかないのもチームビルディングである。今はどのようにすればより良いチームを築けるのか絶対的な方法はわからない。きっと絶対的な方法など得ることは一生できないのかもしれないが、いつか素敵なチームを築いていけるような人になりたい、と思った。
最後にiLEAPスタッフの皆様、Goodwillの皆様、24人のスカラーのみんなを始め、素敵な出会いを本当にありがとうございました。
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