MELC(長岡ゼミ)のブログ

ときがわ町に行ってきた ~よそ者という視点~

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1月24、25日に泊りがけで「ときがわ町」に行ってきた。(http://www.town.tokigawa.lg.jp/forms/top/top.aspx)ときがわ町は池袋から電車と車を乗り継いで約1時間30分ほどで行くことのできる、埼玉県の町である。そんなときがわ町に外部からの目線として訪れ、ときがわ活性会という会議にも参加させていただくことになった。紙すきや温泉などが有名であり、自然というキーワードが好きな私は、訪れる日をとても楽しみにしていた。今回行くことになったキッカケはときがわ町に移住した、関根さんによるゼミ内でのプレゼンを聞いたことであった。そのプレゼンの内容としては、ときがわ町の抱える問題を学生目線から意見してほしいというもの。ときがわ町は消滅可能性都市として埼玉県のワースト3に入っており、その要因として、女性や若者の流失があるそうだ。プレゼンの後に私は何人かのゼミ生と一緒に関根さんのお話を聞き、興味があることを伝え、泊りがけでときがわ町を考える機会をいただいた。プレゼンの話から抱いた私の中のときがわ町は、過疎が進んでおり若い人が少ない・観光資源はたくさんある・空き家があってもよそ者はあまり移住してほしくない、というもので、「地域結束の強い、よそ者排除の田舎」という像だった。そのためときがわ町に訪れる前は、ときがわに住んでいる人に問題があるのかなと勝手に想像していた。

 

SANY0040.JPG▲今回は隣町で紙すき体験をさせていただいた。

 慈光寺というお寺があり、写経の紙として使われるため盛んになったそう

 

ときがわ町を訪れた初日、隣町で紙すき体験をさせていただいた後、ときがわ活性会に参加させていただいた。会議には私たちゼミ生を含め約30人が参加しており、その日の会議内容は廃校になった小学校で行われるアートイベントについてであった。会議室で最初に思ったのは、アートイベントという新たな取り組みを導入しようとすることへの驚きだった。私は中高年の方はアートという自由に発想することに対して否定的だと思っていた。抽象的であるため、イライラしたり理解しづらかったりするのでは、と思ったのである。また会議はとても活発であった。沈黙が長く続くようなことはなく、笑いもしばしば起こった。そんな和やかな会議の中でも、イベントのターゲットをときがわ町に重点を置くのか、外部にもアピールするのかというところで、真っ向から意見が対立する場面があった。「まさかこれから喧嘩とか起こったりするのかな・・・」と心配になったが、そんなことはなく会議は穏やかに進んだ。後で聞いたのだが、会議中は人の意見を否定しない(ブレーンストーミング)というルールがあり、それを遵守していたそう。新しいことを取り入れる、そしてブレーンストーミングの遵守から、私がときがわ町に対して考えていた像とは全く違ったということに驚かされた。2日目は「とうふ工房わたなべ」さんを見学させていただいた。ときがわの玄関口になる場所であり、このあたりで唯一渋滞が起こるそう。どうして軽トラ市を始めたのか、ワタナベさんに尋ねた。「いやぁ、目立つことをしたかったんだ。目立てば取り上げられて外からも人がくるでしょ」とワタナベさんは言った。活性会としてだけではなく、個人としてもときがわの活性のために動こうとしていることが分かった。「あとね、来てもらったからにはお客さんに満足してもらいたい。来てみたら買うものがないなんてよくないでしょ。だから商品が売り切れそうになったら店の人に取りに帰ってもらうんだ」一回きりの活性ではなく、持続的になることまで考えていた。前日の会議では渡邉さんは地元をターゲットにするという意見であった。よそ者反対派なのかと思いきや、外への発信も忘れてなく地域活性をしっかりと長い目で捉えていたことに驚かされた。そのあとは玉川温泉や明覚駅、キャンプ場なども見学させていただいた。町には移住してきたアーティストの方の作品が公園に飾られていたり、移住者の方がときがわ町を紹介する冊子を作っていたり、キャンプ場では外部の方への配慮があったりと、ときがわ活性会のメンバーだけでなく、町の人が個人でもときがわに貢献しようという心が感じられた。

SANY0042.JPG

▲移住アーティストの方の作品。公園のベンチに動物や昆虫をモチーフにしたものが飾られていました。

 

今回外からの目線としてときがわ町を訪れたが、むしろ驚かされてばかりであった。地域を活性させようと個人で活動している人がいて、活性会としても頑張っていて、そして何よりときがわ町が好きな人が多かった。交通が悪いけど「好き」、田舎だけど「好き」というように「○○だけど好き」という人が多かったのだ。初日の夕食時に野口さんという大学生の方がゼミ生の感想の後に言った「人が温かいことはいいことですけど、それだけじゃダメなんです。」という言葉に思わずハッとした。当事者の目線では「○○だけど好き」だが、○○は重要な問題であることもあるのだ。当たり前だがよそ者として無責任だと恥ずかしくなった。野口さんは「みなさんに言われて頑張らなきゃなとも思いました」と話を続けた。自分の当たり前だと思っていた町が外の人から見ると違うように見えるのだと感じたそう。私たち「よそ者」は何か活動をすることの他に、私や野口さんが感じたように互いに気づきあう存在としての役割もあるんだなと強く思った。

カテゴリー: マロン 越境レポート

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