MELC(長岡ゼミ)のブログ

「待つ」場作りについて考える-カレーキャラバンin南相馬での気づき-

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11月16日に福島県南相馬市で行われたカレーキャラバンに参加した。またこのカレーキャラバンは朝日座という映画館とその付近で行われたうまままつりというイベントの中で行われた。詳しくは一緒に参加した4年生の木村優菜さんのブログと3年生の村松美紀さんのブログに書かれているため、ここでは割愛する。

私も読書会で「つながるカレー」という本を読んでカレーキャラバンに参加したいと思った一人である。この本を読んで単純に旅をしながらカレーを作るって楽しそう!と思い、参加をしたということもあるが、私が一番興味深いと思ったのはは”「待つ」場作り”ということだ。本の中に「『待つ』ことを楽しむ」(P82)という言葉が出てきている。一体『待つ』ことを楽しむとはどういうことなのか、これは実際に参加をしてみて感じるしかないと私は思ったのだ。また「私たちは、効率やスピードだけではなく、『待つ』ことの意味をあらためて考えてみる必要がある。」(P84)という言葉に、なるほど、確かに私たちは何かをするときに早く効果を出すことを求めてしまっていることが多いが、それを見直す必要があるのか、と思わされたのだった。

16日の朝、新幹線で福島駅まで行き、そこからバスに一時間半ほど乗り正午より前には南相馬市に到着した。木村さんと村松さんはほぼ同時刻ではあったものの先に到着していた。まず加藤先生や木村さんご夫妻らにこんにちは、とだけあいさつをし、何かカレー作りのお手伝いをさせてください!とお願いをした私。すると快くトマトガールになってほしいと言われた。トマトを何かしてほしいのだろうな、ということは伝わってきたのだが、後にトマトつぶしをしてほしいという意味であったことがわかった。トマトつぶしはしたことがなかったのだが、コツをつかむと種を飛ばさずうまくつぶすことができるようになった。トマトつぶしが終わるとその後は何か役割を与えられるわけでもなく、テントにかけられていたクミンちゃん(カレーキャラバンのキャラクター)や本日の材料とクミンちゃんのイラストが描かれた黒板がかわいいな、と眺めていたり、勝手におたまで鍋をかき混ぜてカレー作りをしていた。

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▲テントに下がっていたクミンちゃん。実は背中側にはチャックがついており、お金などを入れられるそう。

 

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▲本日の材料とクミンちゃんのイラストが描かれた黒板。ちょっと変わった材料が多いと私は感じた。

 

木村さんと村松さんのブログを読んで気づいたのだが、私はこのテントの周りに集まる人々のことよりもこのカレーキャラバンがどういう動きをしていて、どんな道具を使っていているのか、という運営自体に興味があったのかもしれない、と思った。そんな感じでほとんどテント内で過ごしていたのだが、14時半頃にうまままつりの主催者(?)らしき人がテントに来て、加藤先生にこう言った。「もしカレーが出来上がっているのでしたら、早く配っていただきたいのですが。もしかしたら人がどんどん帰っていってしまうかもしれないので。」と。そのとき加藤先生は「わかりました。では気持ち早めに配れるようにします。」と言った。このときカレーは確かにほぼ完成していたのだが、ごはんがまだ炊けていなかった。カレーは15時頃から配りはじめます、と周囲の人たちに告知をしていた。もし私がつながるカレーを読んでいなかったら急いでごはんを炊きましょう、と提案をしていたかもしれない。だが私は何も言わず、その場の流れに身を任せた。案の定、その場がせわしくなることはなかった。このときもちろんごはんを炊きはじめたのだが、ほぼ完成したカレーにもう少しワインを加えてみる、スパイスを加えてみるということもした。よりおいしいカレーを作るために。これはあのとき急がなかったからできたことなのだ、ということは容易にわかる。私はスパイスなどの知識がゼロに等しかったため、何の助言もできなかったのだが、鍋の中をおたまでひたすらかき混ぜながらよりおいしいカレーを作ろうとしていたこのときが一番楽しかった。(鍋の中をおたまでひたすらかき混ぜる、という動作が楽しいなんて変な感じがするのだが、これが妙に楽しかったのだ)


そしてついにカレーは完成した。村松さんも述べていたが、特に集合をかけたわけでもないのに各々がなぜがずらずらと集まってきた、といった感じで人々は集まりはじめ、ちょうど15時頃にカレーを配りはじめた。

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▲完成したカレー。少し不思議な味がしたがとてもおいしかった。

 

このカレーを食べるためにお昼ご飯を食べずにずっと待っていてくださった方もいらっしゃって少し驚いたのだが、単純にとても嬉しかった。そして多くの人たちがおいしい!と言ってくださったのもとても嬉しかった。そしてカレーを配りはじめてから30〜40分後にカレー鍋は空っぽになった。いつもより早めになくなったそうだ。すっかり日も暮れて気温も下がってきた頃、私たちは片付けを始めた。


実際にカレーキャラバンに参加をして、私が一番興味深いと思っていた“「待つ」場作り”について、ああ、なるほど、こういうことか!といった何かピンとくるものはなかったというのが正直なところである。そのため私はこれからもカレーキャラバンに関わらせていただき“「待つ」場作り”について考え続けることによってわかってくるのではないか、と思った。しかし長い時間を使い、ゆったりとした雰囲気の中で、自然と人々が話を始めるような場がカレーキャラバンとその周りにあったことは感じることができた。それはカレーを作っている人たち同士でも、カレーを作っている人とうまままつりに遊びに来た人との間でも、うまままつりに遊びに来た人たち同士でも。そういった場はやはり素敵だな、と思ったし、もっとそういう場を増やしていきたい、と思った南相馬でのカレーキャラバンであった。

カテゴリー: モトトモ

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