10月25日(土)、東京都港区で開催されたVotersBarに参加してきました。VotersBarとはNPO法人YouthCreateが主催しており、若者と地方議員、区議会議員がお酒を飲みながらざっくばらんに語り合うイベントです。
今日のテーマは「安心(防犯、防災)」。政治と安全はどのように関わっているのか。流れはまずパネルディスカッションをし、「そもそも地方議員さんは何をしているのか」「どんな時議員になって一番嬉しかったか」「防犯、防災とは具体的に何をしているのか」といった話を聞かせていただきました。その後、参加者間で自己紹介をしながら話を聞いて感じたことをシェアする。最後にお酒を飲んだり、食事をしながら議員さんを含めて自由に語り合うという流れでした。
パネルディスカッションの冒頭、「自分の住んでいる地域の市長や区長の名前をフルネームで言えますか?」と質問がありました。私は「あれ、誰だっけ?」と思い、記憶を探っても全く見つかりませんでした。自分がいかに政治に対して、無知で無関心だったのかを思い知らされたのですが、他の参加者の方たちもほとんどの人がわからなかったようです。しかし、テレビや新聞に出てくる首相や大臣は知っています。どうやら国会議員はわかる人が多くても、地方議員は何をしているかわからない上に誰がやっているのかも知らない方(もちろん私自身も)が多いようです。
議員さんの中には、一度ベンチャー企業に就職してから立候補した方や、高校教師をしてから議員になった方、2011年3.11の一か月後に初めて当選した人がいました。話を聞いていると、小さい頃から議員になろうと考えている人はやはり少ないようです。会社や学校で今いるところではどうにもできないときに、政治の力が必要になると実感するのだといいます。
具体的に行っていることは、通学路の安全確保などがあります。ガードレールのない狭い道を通学路として子供が使っていると、車と接触しやすく危険です。そのため、通学の時間だけ通行禁止にできるよう行政に申請する。住んでいる場所は海抜何メートルのところにあるのか表示をして、危険性を知らせる。ここ数年増えてきたゲリラ豪雨に対応するために、下水道を新しく整備するといったことがあります。
私にとってかなり興味深かったのが教育の話でした。品川区では「市民科」という授業が取り入れられているそうです。小中学校での総合の時間にあてられており、これからの社会を主体的に生きていくために必要な力を養うことが目的の授業です。これは区と学校がうまく連携をとり、実現したものです。
こうした取り組みは区長が変わることによって、起こることが多いそうです。トップに力があり、その人次第でかなり変わってしまうのだとか。しかし、区長は保守的になる傾向が強いそうで、そうすると何も変わらなくなってしまう。今の仕組みのままでは、必要だと感じている人がたくさんいたとしてもそれを実行に移せない事態を招いてしまうかもしれません。
私はこのVotersBarがすごくいいところだと感じました。それはおそらくこの場に来た人全員が感じていることでしょうが、普段直接かかわる機会のない議員の方たちと楽しい雰囲気で話をして、政治がとても身近なものに感じられるようになったからです。近年、若者の投票率の低さがずっと問題になっています。豊島区では投票率が45~50%。20代の投票率は30%にも満たないそうです。若者向けの政策は通りづらくなり、未来を見越した話が進みません。その原因は様々なものがあるでしょうが、一つの理由として政治が身近なものに感じられないということがよく言われていると思います。一人の議員さんが‘‘しがらみ’’ができると関わるようになると言っていました。この‘‘しがらみ’’とは先輩や知人が選挙に立候補したり、インターンで政治に関わることで生まれます。一般的に‘‘しがらみ’’と聞くと、良くないイメージを持つと思います。辞書を引いてみても「まとわりつくもの、じゃまをするもの」と載っています。しかし、ここでいっている‘‘しがらみ’’はとてもポジティブなものです。自分が関わりたくなるような密接なつながり、そして本来ネガティブなイメージをもつ言葉を使ってしまうほど強固で確かなもの。これを‘‘しがらみ’’と表現しています。このVotersBarも“しがらみ”が生まれる一つだと考えられます。
今私が考えてしまうことは先日のカフェゼミでゼミの先輩がいっていた一言です。
「たくさんの人に広がっていかないのは越境している人が悪いのではないか」
これは今月のカフェゼミのテーマ「仕事と遊びの境界線」での対話で出た言葉です。仕事でも遊びでもない、例えばボランティアやプロボノ、対話の場を設ける人たちがいます。その人たちはコワーキングスペースを使って、仕事でも遊びでもない活動をします。そんな場所に来る人を増やすのに障害となっているのは何かを考えていた時の一言。その人の主張はイノベーターがもっと周りを巻き込んでいかないといけないのではというものです。
ちょっとケースが違うかもしれませんが、自分の越境活動を振り返って考えてみました。
私たちは一人一人いろいろな場所へ越境しています。自分の世界が広がり、たくさんの刺激を受けています。今回私には単なる知識のインプットだけではなく、自分の興味・関心が広がった実感があります。しかし、ここで終わってはいけないのではないでしょうか。ブログを書くことや、ツイッターで情報発信をする。運営メンバーに加わる。もっと小さいことなら友達にVotersBarのことを話す、または連れていく。こうした行動はアウトプットの練習としても、よりよい社会を創りたいという想いから行うことでもあります。しかし、今日帰ってから思ったことは越境先で聞いたこと、していることに共感したのならその後のアクションが起こって当然なのではないかということです。おそらく自分のキャリアアップが目的になっているとこうしたことはしません。そうした人は自分がどれだけ成長できるかが一番大事なのですから。とは言っても私自身、これは文章を書く練習という意味合いが強いことは否めません。ただ、もし自分が共感したことがあるなら、自分にできることを考えてやってみる。そうしてたくさんの人に伝染し、変化を起こしていく。それが私たちの越境をして、変わった本来の姿なのかなと勝手に思った1日でした。
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