桜も咲き始めた三月の終わりに、MELCの春合宿2014が行われた。私にとって1年ぶりのゼミ活動への参加。現ゼミ生はほとんどが新3年生で、そのパワーにちょっと圧倒されつつ、さらにまだ会ったこともない新ゼミ生も沢山参加する中で合宿係としてのコミット。正直とても不安だった。そしてそんな不安を投影するかのような生憎の雨模様の中始まってしまった春合宿だったが、振り返ってみると不安を感じる暇がないくらいとても充実していた2日間だった。
「大人の社会科見学」と題した今回の合宿では、都心のオアシス浜離宮からスタートし浅草、谷根千、上野、六本木、そして有栖川公園まで、とにかく沢山歩いた。その中で1日目に谷根千、2日目に六本木とエリアを絞り、それぞれで「観る」をテーマにフィールドワークを行った。
ところでまず、「みる」には2種類ある。「観る」は何かひとつのものに焦点をしぼらず、マルチタスク(いろんな作業を同時にこなす)にみることを表す。「視る」は何かひとつのものに焦点を当ててじっくり狭くみることを表す。今回は、個人の創造性が刺激されやすい「観る」をテーマに「大人の社会科見学」に挑戦した。
1日目はお昼頃から4グループに分かれ千駄木駅に集合し、谷根千フィールドワークが始まった。今回はマルチタスクとして、「丸いものを見つける・新しい発見をする・谷根千がどんな街かを考える」の3つがあげられ、写真を撮りながら2時間歩き、その後グループごとに3枚の写真を使い面白いストーリーを発表するというワークショップを行った。
(ちなみに去年の同じく丸を使ったWS@麹町→http://www.tnlab.net/melcblog/2013/11/131126.html)
それぞれが慣れないマルチタスクに苦戦しながらも、グループごとにストーリーを発表。みんなの前で3分間の時間を与えられても、私は感じたことを素直に上手く伝えられなかったと思う。なんだか正解を探し、写真をとるときも「どんなものを撮ればいいのだろう」とか、写真を選ぶときも「どれを選べばスムーズにつながるかな」というように考え過ぎてしまったようだ。
全てのグループが発表を終えて学んだことは、発表するときに正しいことを言う必要はないので、自分の考えを他者に共感してもらうことが大切だということ。
よく考えてみたら私たちの発表は「独特な感じ」「○○っぽい」という曖昧な言葉にあふれていた。タンジブル(実体があるさま。実際に触れることができるさま。)・インタンジブルという概念を持っていなかったからだ。自分や体験した人だけにしかわからない表現では伝わらない。「下町っぽい」「人びとがあたたかい」ではなく、「古い民家が並び、道が入り組んでいるところが、都心に近いのに地価が安い魅力につながっているのかも」「歩いていて話しかけてくれたのはおばあちゃんばかりだったから街の高齢化が進んでいるようだ」という方が圧倒的に他者に伝わる。共感してもらうためには自分が経験した個別具体的なエピソードを語り、発見をタンジブルなものにしなければならない。
この学びは自分の中でもみんなの中でも相当響いた(腑に落ちた?)みたいだ。2日目の東京ミッドタウンと六本木ヒルズの違いを見つける六本木フィールドワークでも、「○○はタンジブルな発見?」「それはインタンジブルで分かりにくいよ」といった会話が多く聞こえて、伝わる表現を意識し始めたことを実感した。こんな風に「やっているうちに変わっていくこと、変えていくこと」はとっても大事だと思う。
しかし変われなかった部分もある。1日目は3つのマルチタスクが提示されていたが、2日目は特に指示がなかった。ここで自らマルチタスクの内容を決めて実践できるかどうか。そこがポイントだったのに、今の私にはできていなかった。制約を付けて自由度を下げれば楽になるけど、これからは自分で考えて変えていける力を身に着けなければ。
この春合宿で、お休みモードだった頭がリフレッシュされ、幸先のいい新年度のスタートができたと思う。まずは、なんで?と感じたことをタンジブルな表現を使って表すこと、与えられるのを待つ前に自分で考え行動していくこと。この学びを春学期からの活動に生かしていきたい。
MELC春合宿2014のまとめ→ http://togetter.com/li/648637
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