MELC(長岡ゼミ)のブログ

「モチベーション3.0」私は3.0の世界にいるか?

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5月30日、長岡研究室では、読書会を行いました。

課題本はダニエル・ピンク著、大前賢一訳「モチベーション3.0」。ちょうど昨年の今頃もこの本を課題本として読書会をしたので、私自身読むのは2度目でした。

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長岡研究室では、一ヶ月に一回読書会を行います。長岡研究室の読書会では、いくつかルールがあります。 

・  課題本はいわゆる専門書ではない。

・  輪読形式で行わない

・  本の要約を話すのではない

・  批判的に本を読むのではなく、本の前提に乗っかってそこから新しい発見を探る

 などです。

今回の読書会はがちゃトーク形式で行いました。がちゃトークでは、ガチャガチャの玉と袋、小さな折り紙を用いて、ランダムにお題と発表する人がきまるという手法です。ガチャガチャの玉に自分の名前を書いた紙を入れ、グループの机(今回は1グループ5人でした)にある袋に入れます。その後、別にお題を折り紙に書いて、別の袋(全体で同じ袋)に入れます。お題というのは、本を読んで(今回はモチベーション3.0)、みんなと議論したいと思った事、気になった事などをそれぞれ書きました。これで準備は完了です。先生がお題の入っている袋からガチャ玉を一個取り出し、お題を発表します。私たちは、そのお題についてしゃべる事を2分間で考えます。2分経過後、グループごとに名前の入った袋からガチャ玉を一個取り出し、名前が出たひとがグループ内で3分間スピーチし、その後グループ内でその内容についてディスカッションする、この流れを繰り返すという形です。

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「モチベーション3.0」ってどんな本なのだろうと思った方もいらっしゃると思うので、この本の概要を簡単に説明します。

ダニエル・ピンクは、モチベーション(動機付け)をパソコンのソフトのOSになぞらえて、モチベーション1.0が生存本能による動機付け、モチベーション2.0がアメとムチ、信賞必罰に代表されるような外発的要因からの動機付け、モチベーション3.0を個人の内発的な要因からの動機付けと表現します。現在はほとんどの会社がモチベーション2.0を採用しているとしますが、ダニエル・ピンクは時代の変遷とともにモチベーション3.0にアップデートする必要があると主張します。

先進国においては、単純な作業やルーチンワークは途上国などの労働賃金の安価な所へアウトソーシングされ、先進国には付加価値の高いクリエイティブな仕事が残るとしています。前者の仕事ではモチベーション2.0が有効でしたが、後者のクリエイティブな仕事においては、報酬などの外的な動機付けではむしろモチベーションを阻害しかねず、そこでは、内発的動機付けであるモチベーション3.0が必要になると、豊富な実例と理論を使って説明しています。


さて、読書会ですが、今回は時間も限られていたという事もあり、前述の流れを2回繰り返して終了しました。出てきた問いは、「目標を設定しないことは駄目なことなのか」「自分の働いた分だけ報酬のでるアルバイトでいかにやる気をひきだすのか」というものでした。その中で、パフォーマンス目標とラーニング目標、growth mindsetとfixed mindsetの話が出ました。

パフォーマンス目標というのは、周りに評価されることを目標にしたもので、一方、ラーニング目標はできないことができるようになることが楽しく思うように、自分が成長したいということを目標にしたものです。また、fixed mindsetというのは、知能というのは生まれつきのものであり可変的ではないとする考え方であり、growth mindsetというのは、知能というのは可変的なものであり、自分の努力次第で拡張できるという考え方のことです。ここで重要な点は、growth mindsetとったからといって、能力が向上するということではないが、結果としてgrowth mindsetをとった人間の方が、能力は向上するということです。そして、パフォーマンス目標とラーニング目標、growth mindsetとfixed mindsetの話両方に言えるのが、それを認知するのは自分自身です。自分自身どうなのか、どうありたいのか考える必要があると感じました。

また、モチベーション3.0」の中では、タイプXの行動とタイプIの行動という話が出てきます。タイプXとは、活動あら得られる外発的な報酬と結びついており、モチベーション2.0では、この行動を前提としています。一方、タイプIとは、活動自体からもたらされる内的な満足感と結びついており、モチベーション3.0ではこの行動を前提としています。また、タイプIとは、先天的なものではなく、後天的に培うことができるともいっています。ダニエル・ピンクが言うように、モチベーション2.0がアップデートされ、モチベーション3.0が社会のスタンダードとなるとすると、タイプIの行動をとれるかというのは重要なことに思えます。モチベーション3.0の世界では、それが前提とされているのですから。転じて、私が所属している長岡研究室のことについて考えてみると、私たちがしている越境ということ、ブログを書くということもタイプIの行動を前提にしていると考えることもできます。そこには報酬も罰もありません。しかし、やるかやらないかでは、差がつくというのは分ります。

ラーニング目標然り、growth mindset然り、タイプI然り、自分はどう考え、行動をとっているのか、考えてみる必要がある気がしました。社会にでてから、それ以前に、大学で学ぶという時に自分がどう考え行動するかで、自分が成長できるか変わってくるように思いますし、これからの社会で求められのは主体的に動ける人、つまりタイプIの行動をとれる人です。それに、アメとムチによってマネジメントされるよりも、自分から内発的にやりがいを感じたり、成長するのが嬉しいと思って行動する方が楽しいと思うのです。しかし、人間の思考や行動は簡単にかえられるものではありません。「私はモチベーション3.0の世界にいるか?」この問いを自分自身に問いかけ続け、メタ的に自分の行動を見つめていこうと思ったのでした。

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