11月1日から慶應義塾大学の加藤文俊研究室(以下、加藤研)のプロジェクト「三宅島大学」で三宅島に行ってきました。三宅島大学は東京とが主催する「三宅島全体を『大学』にみたて、さまざまな『学び』の場を提供しよう」というプロジェクトです。
<三宅島大学>
http://www.miyakejima-university.jp/
夜10時、竹橋桟橋の船着き場。三宅島への船は夜に出発します。そこから船で南へ7時間かけて三宅島に向かいます。
ひとまず仮眠をとり朝5時、ようやく三宅島に到着。まわりは真っ暗。ひとまずバスで宿舎に向かいます。宿に着いたのは朝6時、朝焼けの海はとても神秘的でした。
仮眠をとって朝9時。活動開始です。朝食をとりながら一日の予定の確認と「あしたばん」の記事割りをします。あしたばんとは加藤研が出している三宅島大学のかわら版です。
1日目にしたことは三宅島初上陸のひとで三宅島観光をするのと、民宿の女将さんにインタビューをしてポスターを作成すること、そして翌日発行のあしたばんをつくることでした。三宅島観光は加藤先生が運転してくださり、三宅島を一周します。2000年に噴火を経験した三宅島。噴火のときにテレビのニュースで噴火の光景は見た記憶がありますが、その後どうなっていったのかは知りませんでした。実際に見てみると、山のあちこちで火山ガスの影響で木々が立ち枯れていました。そのしたから新しい草木が低く生えて来ている不思議な光景でした。
観光から帰って早速民宿の女将さんにインタビューにいきました。インタビュー先は宿舎から車で20分ほどにある「ラッパ荘」。ラッパ荘の女将さんはとても陽気な方でした。「人生は楽しまないと」と繰り返しおっしゃっていたのが印象的でした。実際に笑顔で今の生活について語る女将さんはとても楽しそうでした。
インタビューから帰って来て早速ポスターをつくります。女将さんをどう意味付けて描き出していくか、グループで話し合いながらコンセプトを決めてデザインを作っていきます。その合間に、あしたばんの記事を作成せねばならず、夜は落ち着く暇もありません。日付が回るまである人はポスターづくり、ある人はあしたばんの編集と全員が作業をします。布団に入るころにはクタクタですぐに眠りに落ちました。
2日目は午前にキッズリサーチ、お昼から長岡先生による講座「魅力ある<場所>について考える」、夜はあしたばんの作成でした。
キッズリサーチとは三宅島大学の講座のひとつで島の子供たちと大学生の交流を目的とし、子供たちが総合的に学べる場を提供する講座です。その日は「キッズといっしょに『ゲイジュツの秋』」と題して三宅島の秋をとってきてのれんにするというワークショップでした。宿舎から出て貝や石、木の葉や木の実をとってきてそれをのれんに貼り付けます。ひとり一房を担当してそれをみんなで合わせてひとつの「のれん」にします。こんなにきれいなのれんが完成しました。それぞれ個性的で見ていて飽きがこないです。
お昼からは長岡先生による「魅力ある<場所>について考える」の講座。この講座は2部構成で、第1部は近くの船の待合室に行きどうすれば場所にがもっと魅力的な場になるか考えました。
私たちポスター班は2日目の午前中に完成させた女将さんポスターをお昼の講座の間に届けてきました。完成したポスターを前に照れながら笑う女将さん。ありがとうって言いながら喜んでくださったので、私も嬉しくなりました。
長岡先生の講座の第2部は三宅島の場所について考えました。皆から考えたい場所の意見をとり、4チームに分かれて「あの場はどうしたらもっと魅力になれるか?なぜあの場は魅力的なのだろう?」という問いをワールドカフェ形式で話し合いました。島の内外の人が三宅島について真剣に語り合い、面白い意見も出てきました。三宅島の場について考えていましたが、僕にとってはあの場自体がすごく魅力的で時間があっという間にすぎてしまいました。
夜はあしたばんの制作。2日目は記事を割り当てられなかったので、みんなの邪魔にならない程度にみんなと交流して時間を過ごしました。加藤研の人たちはいつもみんな一緒にいて笑い話をしたり、そうかと思うとみんなでアイディアを出し合ったり急に集中したりとスイッチの切り替えがとても自然でいつでもコラボレイティブに振る舞っているのが印象的でした。食事は自炊でみんなで食卓を囲んで食べます。その雰囲気は家族みたいでした。いきなり飛び込んで来た私もアウェイを感じることなくみんなと溶け込めたのも、加藤研のみんなが優しく受け入れてくれたからだなと思います。本当にありがたくて、心が温まる2日目の夕食でした。
最終日、午前中は加藤先生と長岡先生による講座「ワークショップってなんだろう?」でした。途中島の方から意見も入り、議論になったり、かなりスリリングな雰囲気でとても面白かったです。
お昼過ぎにはついに三宅島とのお別れ。思ってみれば本当にあっという間な2泊3日でした。そして、島に行くということは船で行くということだから帰りの島との別れは他の土地と比べてより一層旅の印象を強く残してくれます。宿舎でお世話になったはるさん、どうもありがとうございました!
島民の人たちはみんな暖かくて、いい人たちが多かったです。僕が散歩でふらふらしていた時、キョロキョロしてたのが原因だったのか、通りすがりの車の人が窓から「なにかお探しですか?」と声をかけてくれた。道を歩いているおばあさんが車の通行の邪魔になってたらクラクションを鳴らすのでなく「おばあちゃんごめんなさい〜!」と言いながら気づかせてあげる。近くのカフェの店長さんは三宅の魅力について熱く語ってくれた。インタビューに行った女将さんもそのとき風邪を引いてグダグダだった僕に「これでも食べて元気だしなさい!」と言ってお供え物の柿を持たせてくれた。
そしてみんな自分の島を想って誇りに思っていて、それでいてもっと島が元気になってほしいと願っている。実際に活動している人もいれば女将さんみたいに生活を充実させて頑張っている。確かに田舎だし本土からかなり離れた島かもしれないけど、都会で生活している私たちよりもパワフルに・いきいきと人生を生きている三宅島のひとたちに出会って、僕自身すごく刺激を受けた。僕も三宅島の人たちみたいに毎日いきいきと生きよう。そう思わせてくれた旅でした。こんな刺激ある旅に参加させてくださった加藤先生はじめ加藤研の皆様、そしてお誘いしてくれた長岡先生に感謝しています。
ちょうど11月は写真にある3つの岩の真ん中に夕日が落ちる季節だったそうだ。そのシーンをおさめようと僕も繰り出したが最後の夕日の沈む5分で、残念ながら曇ってしまった。今度こそその風景をカメラに収めに、そして三宅の人たちにまた会いに、また三宅島を訪れたいです。
コメント