MELC(長岡ゼミ)のブログ

個をみる

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プロセス・インテリジェンスワークショップに参加してきました。このプログラムは経営学習研究所の理事である東京大学の中原先生と牧村さんのコラボ企画です。
 
場所は成城学園前駅から徒歩10分程にある成城ナーサリースクールで10/26と10/29の二日間にわたって行われました。このワークショップで挑戦するのは「個をみること」。場を作るときに「とりあえずこれでもやっとけばOKだろ」という「ツール絶対主義」や「なにはともあれやってみないと何もわかんないっしょ!?」という「経験至上主義」に陥りやすいところがあります。そうではなくもっと根本である「学習者個人を見ること」にフォーカスをあてて活動します。今回の会場は幼稚園ということで園児の様子を観察しました。
 
一日目、課された課題は「〇〇ちゃんの発見」という課題でした。だれか一人をフォーカスし、その子が今日一日何を発見して何を学んだかを放課後に発表します。午前9時、園児がお父様、お母様と手をつないで登園してきます。私は下駄箱に立って園児ひとりひとりをお迎えしました。子供たちは、私たちのような外の人間がよく来ているせいか、私たちのことを人見知りして敬遠することはありませんでした。朝の集会が終わり私たちも紹介されクラスに入ると「やまね先生!ねまや先生!」と早速なついてくれました。僕もそれに応えようと必死に子供たち関わっていきました。
 
一日目にフォーカスをあてた子は「あきらくん(仮名)」です。早いうちから私になついてくれたこの子と一日を共にする事にしました。このあきらくんは私に対する独占欲がすごい強い子で、「先生あっちいこー!次はこっちー!」とずーっとふたりきりで遊ぶことに(笑)園児はなにもあきらくん一人ではないので他の子供からも「やまね先生!やまね先生!」と呼んでくれます。しかしあきらくんは私を離そうとしません。私の体があと5コぐらいあれば、みんなとたくさん遊べるのに・・・と申し訳なく思いました。
あきらくんは物事を工夫する天才で、ホールのペンキ塗りをする時もはねてしまったペンキを落とす時も「みんな!こうしたら上手くいくよ!」と自分で発信しながらどんどん技をつくりだしていきました。ペンキ落としのときに先生に言われた「ペンキ発見人」の一言で(先生のファシリテーとが秀逸!)仕事人魂に火がついたのか、「先生モンスターハンターやろー!」ということで外遊びが始まりました。この時もあきらくんの特徴がよく出ていました。彼はモンスターハンターという遊びをモンスターを狩るという遊びに設定するのでなく、モンスターを育てるという設定でした。モンスターのためにご飯を作って食べさせてあげる、彼の心の優しさが見えた瞬間でした。
さて、一日目が終了してふと気づいたことがありました。一日あきらくんと二人きりでいたのであきらくんの特徴は少し分かりますが、普段のあきらくんの顔をみることができないということです。関わりすぎると見えなくなるものがある。そう思わされた一日目でした。
 
二日目、初日の反省を生かして少し離れて観察することをこころがけました。初日と観察する子供を変えてもいいということでしたので、「まこちゃん(仮名)」に着目することにしました。二日目の課題は「関係性から個をみる」ということ。二日目も引き続きあきらくんとたくさん遊ぶことが予想できたので少し離れた距離感でまこちゃんを観察することにしました。まこちゃんはすごく明るい子でいつもみんなの中心で遊びを引っ張っていくキャラクターだと感じました。私はあきらくんとモンスターハンターごっこで遊びながら、近すぎず遠すぎずの距離でまこちゃんと接していました。
みんなをよく見ているとある異変に気づきました。初日元気にしていたはずの「ひろみちゃん(仮名)」の元気がありません。そう気づいたのは「やまね先生つまんなーい。」と言って来た外遊びの時です。確かに今日はひろみちゃん、あまり目立ってない。私は一緒に遊んでいたあきらくんをよんで一緒に遊ぼうと提案しました。初日は嫌がったはずなのに、今日はあきらくんばかりみてはいないと気づいていたのでしょうか?あきらくんは嫌な顔せずOKしてくれました。(あきらくん、いい子すぎる!)ひろみちゃんは戦いごっこは嫌ということだったのでみんなで「だるまさんが転んだ」をしようと提案するとひろみちゃんの顔が明るくなりました。ということで、「みーんなー!だるまさんが転んだするぞー!」まこちゃんが遊んでいるグループ呼び集めて、さっそく「だるまさんが転んだ」を始めました。みんなで遊んでいるその時、他のところで追いかけっこをしていた「たかなりくん(仮名)」とひろみちゃんがぶつかってしまいました。特に大きなけがをしたわけではありませんでしたが、ひろみちゃんは泣き始めてしまいました。そこで私はひろみちゃんを抱き上げ先生の所に。だっこされたひろみちゃんがうれしそうな雰囲気をすごい出していたのを感じました。
 
園児たちが帰ってから先生がたのフィードバック。その中で先生はどうしてひろみちゃんがテンション下がり気味なのか教えてくれました。どうやら気持ちが下がっちゃったのは朝一のこと。ひろみちゃんは少し幼稚園にくるのが遅れてしまい、来たときにはみんな今日の遊び相手が決まってとけ込めなかったとのこと。今日はまこちゃんが中心でわいわいしていたけど、時によっては逆になることもあるそう。ひろみちゃんは寂しいきもちで過ごしていたのです。それで私がだっこした時はあんなにうれしそうだったみたいです。
ただ単にひろみちゃんが泣いてしまった、という結果の裏にはいろんな要素が重なりに重なっていることに気がつきました。この子なんでこんな気持ちになってしまったんだろう?どうしてこんな発言をしたのだろう?と問いつめることが「ああ、この子寂しい気持ちなのね。じゃあだっこしてあげよう」と次のアクションにつなげられるのだなと感じました。SNSの先生にもひろみちゃんのことをみてあげたことを、すごく感謝してくれました。私もすごい嬉しくてやってよかったなと思っています。
 
アホみたいに長ーい文章書いたけど、結局何を学んだの?
 
こんな突っ込みが入ってもおかしくないくらい二日間いろんなことがありました。
 
私が特にまなんだと言えることは「個を見ることはすべての基本で、見ることをとめてはいけない」ということです。中原先生は二日目の朝にこんなことをおっしゃいました。「類推をやめると、この子はこーだってカタリ始める」と。この言葉を身をもって体験することができました。

「この人はこうだ」って決めつけた時点でまだ知らないその人の魅力とか可能性を無視してしまう事になるのではないでしょうか。そうではなく相手の言葉や仕草、声なき声も拾い上げて「この人は今なにを思っているのだろう?なぜそう思っているの?」と類推を続けることで、そのひとの新たな魅力を知ることになるかもしれません。そうすれば関わり方もかわり、さらに良いコラボレーションが実現するかもしれません。

これは場を作る側にも言えることができ、見方がかわれば関わりかたもかわり、その場に応じて必要な仕掛けを仕掛けることができます。ツール絶対主義みたいくこの引き出しのなかのツールを使えばとりあえずOKみたいな考え方でなく、どの引き出しから選ぶかという「選ぶ知恵」を磨くのが個をみるという事なのかなと思います。そしてなにより個をみるのはすごく愉しいんです!これが。自分で場を設けて誰がどんな振る舞いをするのかという観察をしたいと今回の体験を通して思いました。でも、自分で場を作るには何から始めれば良いのだろう?いろいろ調べてこれから少しづつ挑戦していきたいです。

こうして未熟なイノベーターの物語は続いていく…

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カテゴリー: やまね 越境レポート

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