8月17日、安斎勇樹さん主催のBa Design Workshopに参加してきた。このワークショップは、「10年後のカフェ」をプランニングし、レゴを使って実際に形づくることによって「場のデザイン」について考えるというものだ。
本題に入る前に断っておくが、このワークショップはこれから8月、9月と何回か開催されるため、具体的なワークについてはこのブログでは記述できない。また、当研究室の山根君がこのワークショップに別日程で参加しており、すでにブログにUPしてくれている。そのため、私がこのワークショップで実際にカフェをプランニングした体験、それについて私が考えたことを中心に記述していきたい。
下記が前述した山根君が記したブログ
<未来のカフェについて考えてきた:http://www.tnlab.net/melcblog/2012/08/120816.html>
このワークショップでは、3人~4人が一組になり、レゴで未来のカフェをデザインした。私のグループは大まかなカフェのコンセプトを決めてから、レゴでカフェを組み立てようということになった。グループ内でゲストハウスに行ったことがあるという人がいて(ゲストハウスとは、低料金で利用できる宿泊施設で、生活設備を利用者同士でシェアするもの)その人の話によると、ゲストハウスでは、個室などプライベートな空間はあるものの、利用者同士が集まれるオープンな場があり、そこでは知らない人同士でも自由な会話が生まれたり、そこからつながりが生まれたりすることがあるということだった。また、ワークに入る前に安斎さんから、パリのカフェについての説明があった。私のグループは、ゲストハウスと、パリのカフェの話の中の「居場所」というキーワードをヒントにコンセプトを決めた。そこで決められたのが、「家のようにくつろげて、自由な会話が生まれるような場」というコンセプトだ。
大まかな方向性が決まったところで、あとは作りながら考えようということで、レゴでカフェの制作に 取り組んだ。カフェを形作る中で、カフェを2フロアにして一方は、知らない人同士でも自由な会話 が生まれるようなオープンな空間、もう一方は自分の家のようにお落ち着いて作業できるようなプ ライベートな空間にデザインしようということになった。オープンな空間で自由な対話をしていく中 で、何かアイデアが思いついたら一方の部屋に行って作業ができるし、プライベートな空間で作業 する中で疲れたら、一方の部屋へ行って気分転換できるし、何かヒントを探しに行ってもいい、とい うストーリーだ。オープンな空間のにはアクティブな行動を誘発するために少し明るい色を使用し た。また、自由な会話が生まれるように、普通のテーブルのほかに立ちテーブルやベンチを配置し た。一方のプライベートな空間には落ち着いた色を使用した。また、どちらの部屋にもドアがついて いて、自由に行き来ができる。などなど、作りながら意見を出し合っていると、あっという間に時間 が迫ってきてしまい、最後にコンセプトと、プランニングしたカフェの場としての機能をグループ内で 確認し合って終了した。
その後、それぞれのグループがどういうカフェを作ったのか、プレゼンでシェアした。他のグループでは、季節をコンセプトにしたカフェ、ファッションショップと融合したようなカフェ、日ごとに映画を上映したり、別の場所にはビリヤードができる場所があったりするカフェなど、自分が思いもしなかったような面白いアイデアが出ていた。その中で一つ興味深かったのが、4っつあるグループのうちで、カフェを制作するまでにとても時間がかかっていたグループがあった。それはコンセプトを固めるために時間を費やしたとのことであった。コンセプトが磨かれていた分、説明も筋が通っていたし、カフェのデザインもコンセプトに合致していた。「作りながら考える」ということもいいかもしれないが、先にコンセプトをピカピカに磨いてから制作に入る、ということもアリだなと思った。
今回は、個人のアイデアを形にするというよりも、一人一人がアイデアを出し合って、そのインタラクションから生まれた新しいアイデアを基に形作っていくということが多かった。とすると、一緒にワークをする相手によって、結果として生まれる成果物は、大きく変わってくるのではないだろうか。それは、インタラクションする相手によって、そこから生まれるものは変わっていくのではないかということだ。ワークショップが終わった後に、もう一回人をシャッフルして新しいグループを作って、このワークに取り組んだらどんなカフェができるのだろう、などと考えるのだった。
最後に「場のデザイン」について考える、ワークショップなどの学びの場のおいては、あらかじめデザインされた「学び」はあるものの、結構偶然性がその日の「学び」に左右するのだなと思う。今回のケースでいうと、ワークを一緒にした仲間によって、ワークを進めるプロセスが変わってきたり、そこから得られる気づきも変わってくるという具合に。場をデザインするときにはその偶発性も考慮しなくてはいけないのかなと感じた。
などなど、つらつらと書き連ねてきたが、今回のワークショップで、未来のカフェという場をデザインしただけで、実際にリアルな場をデザインしたことがない。なので、どんな「場のデザイン」が正しいなんてことは答えも出そうにない。しかし、考え続けることは大切なんだろう。
学びはフラストレーションから生まれる。これは安斎さんの言葉だ。
さて、「もやもや」を抱えながらじっくりと考え続けようか。
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