このワークショップはレゴをつかって「未来のカフェ」をデザインしながら場のデザインについて考えるというワークショップだ。このワークショップはこの後も同様の内容でワークショップが続く事から、内容は詳細に書く事はできないのだが、僕自身が思った事、意味付けを中心にブログを綴っていきたい。
Ba design workshop については下記のリンクへ。今後も7回にわたりワークショップが続くので興味がある大学生・大学院生はとにかく行ってみるのがオススメ。かなりオススメ。
<安斉勇樹さんのBa design workshop http://yukianzai.com/blog/2012/08/12/336/>
前回の記事にも書いた通り、ここ最近の僕の興味はカフェについてである。時間はかかってはいるが現在も飯田美樹さんの「カフェから時代は創られる」も読み進めている最中でもある。この本が読み終わり次第、また改めてブログで考えてみようと思っているのだが、かつてフランスのカフェで行われていたカフェという「避難所」に天才の卵が通っていた事、そしてその卵がカフェという「孵化器」で暖められ育って行った事という歴史をふまえてそれが日本のカフェでは起きないのかという疑問と、その「避難所」と「孵化器」という役割をカフェ以外の別の場所が担っているのかという疑問を探りたいと思っている。そんな中でのBa design workshop参加でもあった。
<「普通で良質な〇〇」 http://www.tnlab.net/melcblog/2012/08/120806.html>
僕の話は置いておいて、ワークショップでは様々な発見があった。
このワークショップは未来のカフェをデザインするにあたり、かつてのフランスのカフェの歴史や日本のカフェの歴史を軽く知った上で10年後の未来のカフェをレゴをつかって「カタチにしながら」場を表現していった。
場をつくっていく上でヒトが行動する上である要素がヒトの行動に影響を与える事も学んだ。それは「コミュニティ・空間・アクティビティ・モノ」という4つだ。僕がカフェを考える上で大切なのはコミュニティで、天才の卵たちが通い続けるための憧れの存在つまりアトラクターがいる事が何より重要だと思い込んでいた。今となってはなんと浅はかな考え方だとは思うが、アトラクターがいる事がカフェのステータスであると思っていたのでカフェのデザインとかは特に…という感じだった。しかしアトラクターとなりうる人がくる為にもその人が魅力的に感じる為のデザインが必要であり、やはり先ほどの4つの要素を総合的に考える必要があるという事をグループ内でどうデザインしていくかを話し合っていく時に気づかされた。
カフェを形作っていくプロセスも非常に面白かった。全体で5つのグループがあったのだが、僕たちのグループが一番もりあがって楽しそうにつくっていたそうだ。確かに僕自身も楽しくてテンションMaxな状態だった(笑)僕も含め誰もアイデアに対して否定から入らず、むしろそれに乗っかろうとする「yes,and」のスタンスだったからだ。この「yes,and」を繰り返し、より奇抜な(!?)アイデアをめざしレゴを組み立てては壊しの連続だった。あんまりの盛り上がりと意見の乗っかりで果たして制限時間内に完成するのか内心不安で仕方なかったが、結果は思いの外終了5分前には完成していた。コンセプトを言葉にしてからつくった訳でもなく、むしろ後付けくらいの勢いではあったがかなり面白い作品が出来上がったと思う。そして意外と実現できそう(笑)
出来上がったカフェを改めて見てみると、僕が「ああ、こんな感じのカフェなら面白そうだな」と思っていたカフェにかなり近いものができていた。1Fはごちゃごちゃしていて新聞をバシバシたたきながら世間話を真剣に語る。テーブルごとの間隔は狭く、体がぶつかるスレスレの中で人をどんどん巻き込んでいきながらみんなで語らう。その外ではバーカウンターでマスターとお話してみたり、2Fで個人で作業をしながらその様子を俯瞰的に観察できるようになっている。カウンターにいたり上から観察している様子を1Fの人が見つけて「おい!お前も見てないでこっちこいよ!お前はこれどう思うよ!?」みたいな展開(笑)めちゃくちゃではあるかもしれないが、こんな事を考えていた自分のアイデアを実際に「カタチにしながら」表現してみると改めて自分が何を思って何を狙っているかを理解する事ができた。
この「カタチにしながら」というプロセスが、実はとても重要なのだなという事を体感した。あるチームはシェアハウスの中のカフェをつくっていたので、誰かシェアハウスに住んでいるのかなと思った。実際に聞いてみると本人は住んではいないものの、友達が住んでいて非常に興味があるらしい。またあるチームは大学院生だけのチームであったが、完成したカフェは研究生のためののカフェ。教授から逃れる避難所的な空間で、ひとりで集中して研究ができる個室が中心。それでいながら研究ポスターをはって交流をはかり、一人でいたいが孤独は避けたいみたいな気持ちが全面に出ていた。カタチにする事によって、その人がどう思っているのか・何を願っているのかがよくわかるようになる。わからない部分は質問をしてその真意を聞き出す。ただ単に語らうよりも簡単に相手を理解する事ができるんだなと思わされて非常に面白かった。
そんなこんなで終了した今回のワークショップ。盛り上がったけれども終了とともにみんなパッと帰ってしまう1回きり感も不思議な感じだった。ほんとはその後みんなで食事でもいきながらお互いの理解をさらに深められればとは思ったが…僕自身も次に用事が控えていたので今回は仕方ない。次回どこかワークショップにいく時は絶対誰かをさそって番外編で語らおうと思った。
だいぶ散文になってしまったがこんな事を思わされる一日だった。そしてワークショップという「つくって・語って・振り返る」という仕組みはただ語らう事よりも手軽に相手を理解することができるという魅力に触れる事ができた。ただカフェで新聞叩いて語らえばと思っていた自分の考えがまた今日で揺さぶられてしまった。何が一番いいのかなんて正解は一生かけても見つけられないとは思うが、今後もいろんなところにいきながらいろんないろんな良質なものを見つめていきたいと思う。
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