MELC(長岡ゼミ)のブログ

学び。発見。次への一歩。

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―――4か月。
私が長岡研究室に入ってから早くも4か月が過ぎた。前期も終了し、ひと段落。
しかし、ここで自分の活動について、振り返り、意味づけをしなくてはならない。
「経験→省察」というスタイルを体得するため、それになんにせよ「やりっぱなし」はよくないのだ。
前期、私はどんな活動をし、どんなことを学んだのか。
一つ一つ思い起こしてみる―――。

<Ba design Lab>

Badesignlab
6月5日、東京大学福武ホールで開催された。テーマは、「多様性を活かすワークショップデザイン」で、前半、後半の2部構成であった。
前半はエクストリームユーザー(障害者や高齢者など特別なニーズを持ったユーザー)を巻き込んで商品開発などに革新的なアイディアを生み出す、インクルーシブデザインを研究されている京都大学の塩瀬先生の事例発表をお聞きした。また、塩瀬先生の発表の合間合間に、「How to kill diversity?」のキーワードのもと、どうすれば多様性をなくすことができるか、グループでディスカッションした。私はこの「仕掛け」が大変面白く感じた。発表を聞くこと――受動的な時間の合間に、ディスカッションする――能動的なフェーズが加えられる。そのテーマが「多様性」で、内容的に塩瀬さんの発表に関連性があったので、発表を聞いてディスカッションのアイディアを思いつくことができたり、発表を能動的に聞くことができた。
後半では「多様性」をキーワードにしながら、ワークショップで「明日から使える技」をグループでディスカッションし、最後に全体のラップアップ。私はその中で「多様性は属性ではなく、視点や認知である」という言葉が印象に残った。それは、属性が多様性を決定づけるすべてではないということ。同じような属性の人同士でも、異なった視点や認知を持つこともあるということ。(私の個人的な解釈。間違っていたらごめんなさい。)属性はわかりやすい多様な部分であるが、私たち一人一人が様々な考え方、視点を持っており、その多様な部分も見落としてはいけないということなのかと思った。多様性について考えさせられた一日であった。



<ブラインドサッカーB1グランプリ ボランティア>

ブラインドサッカー
6月9日、味の素スタジアムにて、ブラインドサッカーB1大会が開催され、私はボランティアスタッフとして参加し、会場設営、ボール拾いなどを手伝った。その中で、ブラインドサッカーをまじかに見ることができた。実際に見て感じたのは、ブラインドサッカーは、視覚がシャットアウトされている分、情報発信が盛んだということだ。フィールドプレーヤーは皆目隠しをしているのだが、ゴールキーパーだけそれをしていない。そのゴールキーパーが司令塔となってフィールドプレーヤーに戦況やボールの位置など声を出して知らせる。また、相手方のゴールの真後ろには(プレーヤーには含まれないが)味方が立っており、フィールドプレーヤーにゴールの位置や指示を声で発信する。フィールドプレーヤーは、それら周りから発せられる情報、ボールから発する音(ボールの中には鈴が入っており、動くと音が鳴る)、ボールに触れる足の感覚をもとにプレーする(あくまで私の推測だが)。
そうすると、ブラインドサッカーは、コミュニケーションがとても重要な要素なのではないかと感じた。アイコンタクトはできないし、周囲の状況を「見て」自分の行動を決めることができない。周囲から発せられる情報が頼りなのである。そのため、自分からの情報発信も必要になる。
チームスポーツにコミュニケーションが欠かせないのは言うまでもないが、ブラインドサッカーでは「伝えること」、それもジェスチャーやアイコンタクトなどの「視覚」に頼るものではなく、「聴覚」に訴える音として情報を伝えるすることが欠かせない。
ブラインドサッカーを実際に見て、スポーツにおけるコミュニケーションの重要性について改めて気づかされた。

 
<まち塾>

 


春光堂書店知恵の輪.png

6月27日、六本木ヒルズにて開催された。
まち塾では毎回ゲストスピーカーがきて話をしてくださるのだが、今回のゲストスピーカーは、山梨県にある春光堂書店の店長の宮川さん。顔の見える本屋さんを目指す宮川さんの活動と「ゆめ」を語って頂いた。いままで、チェーン型書店に慣れ親しんできた私にとって「町の本屋さん」の 春光堂書店の取組みはとても興味深かった。この中で私が特に面白いと感じたのは、「やまなし知恵の輪」会という取り組みだ。これは「山梨各 界で活躍されている方々が薦める本を紹介する」というもので、(上の写真2枚参照)紹介者の薦める三冊の本とその紹介文、それに自分のプロフィールが書かれたパネルが店内に設置される。このコーナーで紹介された本の購入者には、コメントカードが渡され、名前とメッセージを書いて店舗に持っていけば、選者に渡してもらえるという仕組みも。本を通じて、「紹介者と購入 者」のリアルなつながりが生まれるのだ。本屋が、人と本、そして人と人を繋ぐ。そういう取り組みは、自分にとってとても新鮮で興味深く思われた。
また、まち塾では各々一冊本を持ち寄り、自己紹介を兼ねて自分の持ち寄った本を紹介する。ここで私が感心したのは、紹介する本、またその語り口からその人がどのような人なのか、何となくわかり、打ち解けやすく感じられたところだ。普通に自己紹介するよりもこちらの方がよっぽどいいのではないかと感じた。
私がこのまち塾に参加して発見したことは、「本」は情報をインプットするだけのものではなく、コミュニケーションのツールとしても、非常に効果的に使用できるということだ。この発見から、「本×コミュケーション」を自分の研究テーマに決定づけることにした。

<臨時特別授業 社会情報学特殊講義B コミュニケーションの現在を考える>
6月30日、青山学院大学、青山キャンパスにて開催された。
詳しい内容については、松井田君がブログにまとめてくれているので、そちらを参照して頂きたい。
この中で私が興味深かったのは、コンテクストの話だ。苅宿先生によると、日本は様々な価値観やグループが存在する多文化社会、ハイコンテクスト社会だということであった。日本の社会=KY文化(空気を読む)=コンテクストが不可欠な社会、という構図だ。これを聞いて私が考えたのは、人とのコミュニケーションの際には、自分とコミュニケーションする相手がどのようなコンテクストを持っているか、それは自分と共通した物なのか、そうではないのかなどを意識し、自分の振る舞い方や、言動をより適したものへしていくことが重要なのではないかということだ。KY文化が根付いている日本では特にそのあたりを意識しないと、ちょっとした言い方で誤解を招いたり、理解されなかったりすると考えるためである。


<Bookexchange>

20120717_155048.jpg7月15日、SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERS という本屋で開催された。これは、「読まなくなったけど捨てられない本」や、「読む人がいるのならリサイクルしたい本」を各々持ち寄って、交換するというものだ。詳しい流れについては以前ブログに書かせていただいたので下記URLを参考にしてほしい。
私がこれに参加して感じたのは、お互い持っている背景が違っていても、共通項(この場合は本好き)があると、コミュニケーションしやすいということだ。例えば、好きな本や好きな作家を紹介する時に、相手も知っている場合も多く、一から説明しなくても理解してもらえたり、自然とそこから話題が生まれたり、といった具合である。


―――以上が私の前期活動の記録だ。

前期は、自分の興味、研究テーマを探すため特にこれというジャンルを決めずに越境してきた。(研究テーマは○○とコミュニケーション。この○○に入るものは自分で決めるのである)
越境していく中で、インクルーシブデザイン、スポーツとコミュニケーション、etc.. 興味をそそられるものには出会ったが、なんだかしっくりこない。そこで一回立ち戻って、自分が好きなことはなんだろう、と考えた際に出てきたのが読書である。6月27日、まち塾に参加しそこで、本をコミュニケーションツールとして活用できることを実感た。それでは本を使ったコミュニケ―ションではどのようなことが可能で、どのような性質なのだろうと思い、「本×コミュニケーション」を自分の研究テーマにしたのである。
この夏、そして後期は、本を使ってコミュニケーションを促すようなイベントや取り組みを行っている団体や人のところへ出向き、本を使ったコミュニケーションにどういう可能性があるか見極めたいと思う。また、これは決まったばかりのものだが、実際に読書会を企画することになったので、これを後期プロジェクトの一つとして位置づけたい。

「本×コミュニケ-ション」という研究を深めるにはどうすればよいか。まだ手さぐりの段階だが、一歩一歩着実に進んでいきたい。

カテゴリー: かね ゼミ活動

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