2012年前期の活動を振り返ると、まず思い当たるのは私の活動は一つの活動に深くかかわったものではなかったということだ。しかし、放浪して様々な経験ができたと思う。ゲーミフィケーションだけではなく、ゲームと学習の関係についてなどのイベントにも参加することができ、あらゆる側面から活動のヒントを得ることができた。また生まれて間もないゲーミフィケーションという概念について、様々な意見に触れ、自分のなりの考えを持つ良い機会だったと思う。後期はこれまでの経験を生かして、自らゲーミフィケーションを作る立場に立ちたいと考えている。
まず4月には、「ゲームのちからで世界を変えよう会議」に参加した。
株式会社シンクスマイル・面白法人カヤックの方がゲストとして登場しゲーミフィケーションを人事評価に活用している事例を紹介してくれた。これは社員や外部の顧客からもらったバッジの数によって給料や昇格が決まるといったものだ。バッジの獲得状況はパワーグラフのようになっていて、苦手なところを克服したり、得意な分野に磨きをかけようというモチベーションアップを狙っているようだ。また各社員が他の社員を評価するため、他の社員の仕事に興味を持ちよく観察するきっかけにもなっているらしい。世間ではゲーミフィケーションはマーケティングのカテゴリーに入っているように感じられるが、それ以外の具体的な事例を聞くことができ大変面白かった。それと同時に未来の組織の在り方、コミュニケーションの取り方を考えるヒントになったと感じた。
6月には「経営学習研究所 MALL」にボランティアスタッフとして参加させていただいた。とても貴重な体験ができたと思う。大人の学び場としてのイベントを作る一員になれたことは、大きな達成感を味わった。ここで気になったことは、今回のボランティアでなぜこんなにも大きな達成感を味わうことができたのか、ということだ。もしかしたら、「今回はうまくいかなかった」と落ち込んでいる人もいるかもしれないが、私を含め多くの人は力を出し尽くしたことに満足し、また参加したいと感じているだろう。そのやる気はどこから出てくるのだろうか。私は、このイベント自体がボランティアを主体的に活動させ、最大限個人の力を発揮できるようにデザインされていたからだと思う。お客さんもボランティアスタッフも主体的に動けるように、それでいて困ったときはすぐに助けられるように理事やスタッフの方々によって配慮されていたことに気が付いた。この「個人の力を引き出すノウハウ」はとても興味深く、これからの良い場づくりに必要なことだと感じた。
6月中にもうひとつ、千葉大の「ゲーミフィケーションを活かした授業作り」にも参加した。前半は立命館大学の米光一成教授によるゲーミフィケーションを活用した授業を実際に受けて、後半に質疑応答をするという内容だった。BGMやミニグループワークなどを頻繁にとりいれた点が印象的で普段自分たちが受けている授業とは異なり、かなり怪しい雰囲気が漂ってきた。質疑応答の時間では参加者から教育関係の質問が多く寄せられていた。会場全体の関心はやはり教育、「どうしたら生徒に真剣に授業を聞いてもらうか」という内容が多かったように思える。私は教育のことは良く知らないが、単にゲーミフィケーションの概念を取り入れるだけでは不十分だということはイメージできた。その他の複合的な要素が授業や活動の場にとって大切なのではないかと感じた。また一口にゲーミフィケーションといってもかなりレベルがあるように思えた。というのも今回の授業はどことなく「コア」な雰囲気を感じたからだ。既存のサービスにあるようなライトなゲーミフィケーションとは明らかに違う空気が流れていた。この違いははっきりと説明出来ないので気になる部分であった。
最後に、早稲田大学院博士課程の福山さんの作ったワークショップ「環境問題をゲームで体験して考えるワークショップ2012」に参加した。現実には経験し難い環境問題のジレンマをカードゲームで体験してもらおうというワークショップだ。このワークショップでは、興味深かったのは、「人と環境問題に接点をつくっている」ということだ。環境という壮大なスケールの問題を一般人が考えるとき、たいていは、「難しい」とか「私には関係ない」と思うだろう。しかし、ゲームを楽しむことで環境が自分事になり、私たちとの関わりができていると思えた。ゲーム的要素が持続的な興味・やる気を引き出すことを身をもって実感した。
前期の活動を通して出てきた思いは、「自分で実際にゲーミフィケーション的活動を作って、試してみたい」という思いだ。前期ではさまざまなイベントに参加して、経験を積むことができた。が、多くは他の人が作った実験場での活動だ。次は自分自身で実験場をつくる番だと思う。後期はゲーミフィケーション的○○○を試す実験をしたいと思う。「こうすればゲーミフィケーション的になってもっと良くできるんじゃないか?」というアイデア出して、実際に試していきたい。肝心の○○○に入れたいものは多々あるが、最も身近な実験としてゼミ活動を対象にするのがいいと思う。例えば、ゼミブログの執筆について。ブログは個人の自由な活動で今日までに約50本あがっていてとても活動的だと思う。一方、文章を書くのが苦手でなかなか進まないという意見などもある。そんな時ゲーミフィケーションの発想を活かしたら、もっとたくさんのアクションが生まれるのではないだろうか。またその他の活動でも、私たちの眠っていた力が目覚めていくのではないだろうか。後期の活動はこういった実験を通して私たちの気持ちや行動を変える仕組みを作っていきたいと考えている。
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