MELC(長岡ゼミ)のブログ

仮想の世界で語り合う、現実世界で混ざり合う

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6月30日早稲田大学で行われた「環境問題をゲームで体験して考えるワークショップ2012」というイベントにテストプレイヤーとして参加しました。このワークショップは、福山佑樹さんの考案したカードゲーム「the irreplaceable gift」(かけがえのない贈り物)を用いて環境問題の抱えるジレンマを体験し、自分なりの考えを持つためのゲームです。

the irreplaceable gift  http://fumituki.jimdo.com/2012/05/25/workshop2012/ 環境ゲーム表紙.jpg

会場にはテストプレイヤーとして4人の大学生が集まりました。私たち4人は環境について一般的な知識しか持たないごく普通の大学生です。初めにアンケートに答え、アイスブレーキングとして、サイコロでランダムに出た絵からストーリーを考える発想トレーニングを行いました。その時はとっても盛り上がっていたのですが…ゲームが始まると一転みんなの顔が真剣な顔になっていきました。お菓子を食べながらのんきに遊んでいる人はいません。それは、私が単にゲーマーだからではなく、このゲームのルールがそうさせるのでした…。


 

 【簡単なルール&勝利条件】

地球環境が壊れないようにしながら自分の幸福ポイントを最も高くしたプレイヤーが勝利。

地球環境は各プレイヤーの行動によって0~40までカウンターが変化する。カウンターが40を超えると地球は滅び、全てのプレイヤーが敗北。(カウンターの初期数値は10)

 

1.プレイヤーは1ターンに1枚ずつ好きなカードを出して行動することができる。

その際、用紙に他の人に見えないように自分の幸福度の変化をメモしておく。

カード効果の例:風呂の残り湯をそのまま捨てる。 幸福度+1 環境破壊+1

:自動車を使わずに自転車で通勤する。 幸福度-2 環境破壊-2

(幸福度と同じ数だけ環境破壊は進む)

2.各プレイヤーがどのカードを出したか分からないようにシャッフルしてから公開し、環境カウンターを計算する。

3.全員が地球にやさしい行動をしたら、ボーナスで環境カウンターが2つ下がる。しかし、全員が環境破壊につながる行動をしたら、ペナルティとして環境カウンターが2つ上がる。

4.最後に全員で地球カウンターを見ながらどんな行動をするか、話し合いを行う。

 

1~4を7ターン繰り返し、最後に一番幸福ポイントが高かったプレイヤーの勝利。

 


 

 

このルールを聞いたとき、「4.最後にみんなで話し合いをする」というのがミソだというのは、全プレイヤーが感じたことだと思います。つまり、「みんなで環境を良くしよう!」と言いながら実際にはクーラーをガンガンつけるようなカードをだして、一人だけ幸福ポイントを稼ぐような行為も認められるのです。しかし、全員が幸福ポイントを求めると地球環境はどんどん悪化してしまいます。

 

1ターンだけ練習して、いざ!ゲームスタート!環境ゲームプレイ時.jpg

最初のターン、私はいきなり幸福ポイント+3 環境破壊+3のカードで攻めました。他のプレイヤーは遠慮しているのか全員環境に良いカードをだしていました。「みんな勝つ気あるのかな」とは思いましたが、一人だけ自己中心的な態度をとって申し訳ない気持ちになってしまいました。しかし、次のターン以降は全員が環境破壊をしながら幸福度を稼いできました。その後も、地球滅亡にギリギリ近づくまで、その傾向が続いたような気がします。

当然、自分たちの行動がすぐに結果として跳ね返ってきました。ゲームの後半は環境破壊が33くらい(40でゲームーオーバー)まで進み、各プレイヤーは難しい判断を迫られるようになってきました。全員が幸福度+2のカードを出したら、即アウトの状態になってしまいました。ここでようやく環境破壊する人と環境保護をする人の半々に分かれ始めたところで、ゲームは終了しました。

とても面白い状況だったのでもっと遊びたい気持ちが強かったのですが、ゲームが終わった後は、振り返りの時間です。

ゲームの世界では破滅寸前まで来てしまいましたが、現実の行動を見つめ直すことになりました。様々な行動が書かれたカードの中から、「やめられそうにないこと」と「頑張って取り組もうと思うエコ活動」を1枚ずつ選んで発表しました。実際の生活とゲームを照らし合わせることで、各々確実に自分ができることがはっきりしたのではないかと思います。

 

最後に主催者の福山さんと1対1でインタビューを受けました。

調査としてインタビューを求められたのは初めてだったので、うまく答えられたかは分かりませんが、ゲームが終わった直後は環境への関心があまり高まらなかったと答えました。しかし、数日たってゲームで環境問題を体験した効果がじわじわと表れてきました。「今電気を付けっぱなしにしたら環境破壊+1かぁ、これ40回やったら地球滅亡だなぁ」と不意に思い出していることに自分でも驚きです。私はこの感覚こそゲームによる学びの持つ良さではないかと思います。ゲームという仮想の世界を体験することで、むしろより現実の問題の本質を感じることができるように思います。

最後にこのゲームを体験させてくださった福山さん、一緒にプレイしたみなさん、楽しく有意義な時間をありがとうございました!

カテゴリー: こやま 越境レポート

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