4月15日、「ゲームのちからで世界を変えよう会議」という会議に参加した。今回のゲストは、元もじぴったんプロデューサーで、神奈川工科大学情報メディア学科特任教授として教鞭をとる中村隆之氏・株式会社シンクスマイルの五十嵐政貴氏・面白法人カヤックの三好氏がゲストとして登場した。
イベントはゲストの話から始まり、MCがツイッターを使いながら興味深いコメントや質問を拾い、対話を促していた。
会議のテーマであるゲーミフィケーション。ちょうど翌日16日に発売されたAERAに特集されたように、社会的にはまだマーケティング手法の一種という認識が強いように思われる。しかし、私を含めこの会議の参加者たちはその他の分野にも影響を与える可能性があると強く感じているのだ。
今回のゲスト、シンクスマイルという会社は人事評価にCIMOS(シーモス)というオリジナル評価制度を取り入れている。本来上司が持っている評価の権限を社員全員にオープンに分けようという考えから生まれたらしい。同僚など他の社員から「サンクスバッジ」や「スマイルバッジ」を受け取り、その数や種類によって昇給や異動が決まる仕組みだ。バッジの取得状況はHPでパワーグラフ上に表示されている。
バッジを受け取った社員は自分が周りからどんな評価をされているのか一目でわかるようになる。また、評価の「見える可」によって自分の長所と課題も浮かび上がってくるのでモチベーションアップにつながる。私は「これで苦手を克服するんだな」と予想していたが、逆だった。「もし、上司からグラフの凹んでいるところを直すよう言われたら、モチベーションが下がるし楽しくない。Gamefullに働くということは自らプレイするということだから、そこは本人に任せている」と言う。実際、課題を直すよう努力している社員もいれば、得意なところを伸ばすよう努力している社員もいるそうだ。
また、バッジを与える側も意識が変わっていくという。他の人を評価するという機会を与えられたことで、他の社員の良いところを発見しようという意識が高まったと話す。自分の仕事のみに専念せず、周りのアクションに敏感に反応できる人材に知らないうちに成長できるところが素晴らしいと感じた。
「大きな仕事も若い社員に任せられるフィールドがあります」という言葉は、ベンチャーをはじめよく耳にする。しかしシンクスマイルのように、人事評価まで任せている会社はなかなか無いのではないか。『任せる』というのはすべて自己責任で解決しろということではない。自分で思いを形にしてくださいということだ。自分で考えるという機会が人をやる気にさせる。また、そのような機会が増えると組織はフラットで上下関係の少ない組織になる。事実、シンクスマイルの代表は「社長」という言葉を使わず、「リーダー」となっている。
「ゲームのちからで世界を変えよう会議」ではその他にも経済面や場の力についてなど、様々な方面からゲームの力について触れられていたが、私にとってはゲームが組織構成に強い影響を与えることを実感させるものとなった。
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