MELC(長岡ゼミ)のブログ

もじぴったんから学ぶ

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3月15日、東京大学で行われた、CLG(Community for Learning and Games)研究会 主催のセミナーに参加した。元「もじぴったん」シリーズのプロデューサーである中村隆之氏が「優れたデザインが生み出すデジタルゲームの楽しさ」についての講演だ。

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時間が18:30~21:00と遅い時間で、ゲーム関係者だけでなく、教育や医療といった分野の人も参加していた。講師である中村さんは東大での講演ということで、とても緊張していたようだが、そんな感じが笑いを誘って、講演は気楽な雰囲気で進んでいった。講演では、「もじぴったん」というゲームの開発秘話を中心に最近のテレビゲーム(太鼓の達人、スーパーマリオDS、みんなのリズム天国など)の事例を紹介しながら、どうしたら面白いゲームを作れるか、またそれらをどのようにして社会に役立てるかという内容だった。

 

いろいろな話が取り上げられたが、一番興味をひかれたのは、「プロとアマの違い」についての話だ。アマチュアは完成したゲームしか見られないが、プロは開発の段階でゲームの要素・構造・加減の「ほんの少しの差」を経験的に理解できるというのだ。特にアーケードゲームは、試作機を作って実際にゲーセンに設置しておくそうだ。それを実際にお客さんがプレイしている生の様子を見て、「ここはもう少し考えたほうがいいな」なんて思いながら少しずつ調整を加えていくのが仕事の面白さだそう。つまり、プロはフィードバックをたくさん持っているということだと思った。

 

これは、すごく衝撃的な事実だった。なぜなら、プロと呼ばれる人たちは、専門家たちと難しくて細かいことを会議で話し合って、素人が思いつかないような大ヒットを飛ばすと思っていたからだ。私はそういうのが、プロの凄さだと思ずっと思っていた。でも実際は、ちょっといいアイデアが浮かんだら、試しに店に置いてみて、一般の客の反応を観察しながら作っていくと言う。プロが素人から何かを得ていくというのは、意外に感じたが、とても面白い発見だった。

 

私はこの話を聞いて、キーパーソンはゲームをあまりしなかったり、操作が苦手な「素人」だと思った。ゲームをやりこんでいるコアなファンに評価されることはあまり重要ではないような気がした。

 

「優れたゲームは、ゲームが苦手な人でも過程や失敗を楽しめるものだ」 

 

中村さんは、たとえ失敗しても、ペナルティなしで何度でも挑戦できるように失敗をデザインすることが重要だと何度も言っていた。当たり前だが、現実では失敗したりおかしなことをしたら、それなりの罰やペナルティが待っている。だから大体は無難な行動をとってしまう。それは賢いことだと思う。しかしゲームの世界では何度でも失敗可能で、全く痛くない。だから、いろんなことを試してフィードバックを得ることができる。

「楽しく何度でも失敗できる」というゲームの特徴をもっと他の分野に応用していけば、いろいろと新しい可能性が広がるはずだ。

カテゴリー: こやま 越境レポート

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