2月25日に地元・新潟県中越地区で行われた「越後妻有2012冬 雪アートプロジェクト 雪の運動会」にいってきた。十日町市松代という雪深い地域で開催され、その土地の特徴を最大限に活かした楽しい地域の催しのような、祭りのようなものであった。新潟県の十日町市と津南町に「人間は自然に内包される」というコンセプトのもと、人間と自然がどう関わっていくかという可能性を示すモデル地域になることを目指して、越後妻有の地域づくりを進めている。世界中のアーティストと地元住民をつなぐ「大地の芸術祭の里」というコミュニティである。私がいった雪の運動会には400人もの来場者(!)の中に混じって、童心に帰り雪を楽しんだ。JAの帽子をかぶった地元のおじいちゃん、腰の曲がったおばあちゃん、若者、子供、おそらく海外から来たアーティストの方、異様なまでに様々な人がいた。そしてスキーウェアやスノボウェアに身を包んだ人たちの群れはカラフルで、それだけでわくわくする。
大地の芸術祭の里 HP:http://www.echigo-tsumari.jp/about/concept/
↑雪×大漁旗のコラボ(笑)
雪深いといっても美しいものではない。2m〜3mのおぞましい高さに積もった雪は、感動的な雪景色を作る一方である種の嫌悪感や恐怖感をおぼえさせるものであった。(私が雪に見慣れているということもあるかもしれませんが…)しかし地域住民にとってはそうもいっていられないのが現実で、雪を片付けなければ生活できない。立ち向かっていかなければならない問題である。そんな特徴をめいっぱい楽しめるものにしたのが今回の催しだと私は解釈しているし、事実とても楽しいものであった。地元民にとって普段は邪魔物扱いの雪も、このような雪の利用法は多いにしていただきたいと思った。赤・青・緑・黄に別れ本物の運動会さながらに、競技を行い、獲得点数を競い合う。雪上風船割り、雪の高積み競争・応援合戦など、思ったより本格的であった。
↑風船割りの競技をする子供たち
私の目的は「かんじきダンス」に参加することである。(かんじきって?という方もいらっしゃると思うのでこちらのWikipediaのページを参考にご参照ください。)簡単にいうと、かんじきとは雪に埋もれないように歩くために履く履物。昔ながらある道具である。それを使ってみんなで踊ろうという、なんとも変な試みである。さらにそのかんじきダンスはコンドルズというダンスカンパニーの方々が振り付けしてくださったそう。かねがね耳にしていた「コンドルズ」という言葉に反応してしまい、さらに地元のダンス仲間たちがそんれに関わっているということもあり、とても興味深々になった私。
「コンドルズとは男性のみ学ラン姿でダンス・映像・コントなどを展開する舞台で人気のダンスカンパニー」である。(HPより引用)NHK連続テレビ小説「てっぱん」でオープニングのてっぱんダンスを手がけたり、サラリーマンNEOのテレビサラリーマン体操を手がけたりしている団体である。わたしが長岡研究室に入ってからかなりの頻度で耳にしていました。
コンドルズ HP:http://www.condors.jp/index.html
そんなこんなで何かの縁を強烈に感じ、実際に踊ってきました。 雪国出身にもかかわらず、私は実はかんじき初体験(さんざん紹介しといてお恥ずかしながら)!実際に履いてみると、すごく歩きづらい。靴とかんじきを結ぶロープのところが冷たい雪にくっついて足をあげて踏みだすという行為に一苦労。そしてかんじきは自分の足が一回り大きくなるので必然的にがに股になってしまい変な体勢で歩かざるを得ない。「こんな状態で踊れたもんじゃない…!」って正直思いました。
↑地元のおじいちゃんに手伝ってもらって履いた、初めてのかんじき!
そしてまずは振り付けを教わりました。こういってしまっては失礼に値するのかもしれませんが、かっこいいものではなかった。でもみんなで踊ることのできる簡単なダンス。手拍子、ツイスト、ウルトラセブン(?)のポーズ、などなど、なじみのある動きを存分にとりいれた振り付け。そして振り付けの最後はコマネチのような動きをとりながら「ザックザク!!」と叫び、その後ハイタッチをしてまわる。最初は組ごとに小さな輪っかになって2セット、次は会場の人全員で輪っかになり、バンドを囲んで5セット。これがすごかった。約400人もの人が輪っかになるとすごい大きさになる。
一昨年の振り付け練習の様子:http://www.youtube.com/watch?v=HbZNnJV569k
踊ってみて思ったのが、踊ると仲良くなれること。これは「ザックザク」と「ハイタッチ」効果だと思う。ただ単に振り付けを踊るだけじゃ生まれないコミュニケーション。そして子供たちはやっぱり純真無垢である。すぐ私の懐に入り込んでくる。いったん「遊びモード」に入ってしまえば踊ることの恥ずかしさや戸惑いなんてなくなってしまう。大人はそのゲート突破に時間はかかるものの、徐々に何かを吹っ切ったように踊りだす。かっこいいかどうか、ちゃんとできているかどうかなど、あのときの"場所"に迷いは存在せず、一心不乱にみんな踊りだす。かんじきダンス踊った後はずんずんしゃべりだし、どこからともなくまた踊りだす。
「ダンスって、すげぇ…。」こんな風に意識してダンスをみたことが無かったので、ダンスのハッピーパワーを確認。それと同時にダンスはコミュニケーションツールという役割を存分に発揮しているということ。もちろんダンスって人と人との会話を生み出すだけのために存在するんじゃないけど、今回はその側面がとても大きかったように感じる。雪といやでも向き合わなければならない地域で雪の運動会をして、かんじきを使って踊ることで、すこしだけ雪に対して気が楽になったんじゃないかな?って思う。雪掻きの時にふと脳裏にこの思い出がよぎれば万々歳であると思う。「集うダンス」?「ダンスで集う」?にはこんな効果があったのだ。やっぱりおどるのって楽しい!!自分はやっぱり「踊り人、ますくん」である。
↑コンドルズのお二方と!!!
(※えいじさんとの写真がない!持ってる人ください!)
コメント