2月3日~2月5日に開催された、慶應義塾大学加藤文俊研究室フィールドワーク展Ⅷ「栞」へ行ってきた。場所はJR目黒駅から程近い「やさしい予感」というギャラリーだ。民家を改装した建物で決して派手ではないが、まさに「やさしい予感」を予感させる暖かい会場であった。
こちらに伺う前に、日本科学未来館で開催されている大きなある展示会に行っていたこともあり、なんだかホッとする場所であった。「栞」の中へ入ってみると卒業制作、OBの方の研究の他に、1・2・3年生のプロジェクトの展示もしてあった。広いとは言えない会場だったが、狭い分構えることがなく居心地がよく、そして、間接照明やディスプレイ、壁の使い方など、優雅に見て回るという感じではなかったが1つ1つの展示物へフォーカスし易いという印象を持った。
一番興味を持って一番長く居座った展示がある。「ジブン(ジ)テン_04」という展示だ。そこはバーカウンターのようになっていて3、4人座ることができる。展示の内容は自分のことを語ったモノ・コトを綴っているのだが、1人でその辞典は完結しない。04とあるように、4人目らしい。あいうえお順にそれぞれが語ったその人自身を入り混ぜてあり、その人たち自身の一部分をを見ることができる不思議な1冊の辞典なのである。パラパラと目を通していくそれぞれの趣味嗜好、家族のこと、何かを語っている。この人どんな人だろう、とか、この人の趣味と似てるなぁ、とか考えながらめくっているのだが、何故4人分を1冊にするのだろう、と疑問が湧く。重ねて綴っていくことに何か明確な意味がある訳でもなさそうだが、でも、なんとなく、性別や世代、好きなモノ・コトを超えて1つに綴られていったその1冊はとても厚くて重くて暖かい。ごちゃごちゃしているはずなのに、見やすい。それぞれのジブン(ジ)テンが個別になっているより、中身をどんどん見たいと思うだろう。人と人がどんなつながりがあるのか想像しやすいし、想像しながら読むことができる。繋がりを表現するのには随分と大きいし重いものだけど、ツイッターのタイムラインやフェイスブックのニュースフィードに見慣れていた私にとってとても安心感や懐かしさのあるツールだなって思った。SNSのように機械的じゃなく、すべて見えるわけじゃなく。すごく素敵だなって感じたし、私は大好きな展示でした。
今年法政大学で長岡研一期生である私は、この展示をみて「あいつらスゲー」っていう憧れと同時に、正直なところ、焦燥感にかられているのだが、長岡研も長岡研らしい展示ができたらと思うところである。
慶應義塾大学 加藤文俊研究室 URL:http://fklab.net/
慶應義塾大学 加藤文俊研究室 フィールドワーク展Ⅷ 「栞」 URL:http://vanotica.net/fw108/index.html
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